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全人代、中国の中小零細企業の危機あらわに

2021年3月9日(火)13時27分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

技術革新については、科学技術成果の転換と応用を支援し、大中小企業の統合とイノベーションに関連する取り組みを推進した。

2.問題点

コロナのコントロールがまだ脆弱で、景気回復の基盤がまだ不十分だ。未だ消費が制約されており、投資の伸びも十分でなく、中小企業や個人経営者はより多くの困難を抱えており、雇用の安定化が満たされていない。

特に重要分野におけるイノベーションの能力は強くない。いくつかの地方政府では財政収支の矛盾が顕著であり、金融リスクを未然に防止することに成功していない。政府の業務には欠点があり、形式主義と官僚主義は程度の差こそあれ存在し続けており、一部の幹部は責任を取らず不作為が目立つ。一部の領域では未だに汚職が発生してる。政府はこれらの問題を直視して全力で改善に取り組み、国民の期待に応えていかなければならない!

3.これからの政策について

「中小零細企業や個人経営者の年間課税所得が100万元以下のものに対しては、従来の優遇策に加えて、さらに所得税を半減させる」という優遇策を実施する。

特に融資困難な企業に対しては「中小零細企業向け融資の元利償還猶予政策や中小零細企業融資保証の手数料・補助金の削減政策を延長する。大手商業銀行の中小零細企業向け融資を3割以上増やし、実体経済に利益を与えるよう金融システムを誘導し続ける」などの支援を強化する。今年は、中小企業・零細企業への融資をより便利にし、総合的な融資コストを着実に削減することが急務だ。

4.その他、賃貸料の減免などを通した「経営コストの削減」、「サプライチェーンの安定化」、「輸出の安定化」などを推進する。

この度の政府活動報告には10ヵ所以上「中小零細企業」という言葉が出て来るが、詳細は省く。なお、第十四次五ヵ年計画には「イノベーション型中小零細企業が新しい技術の発祥地になることをサポートする」といった主旨の目標が掲げられている。

アリババなど大手ネット通販が凶器

習近平政権になると、中国は世界の工場から脱する時期に入り、「中国製造2025」ハイテク国家戦略を進めるとともに、都会にいる農民工たちの故郷への回帰を図る「新型城鎮化計画」が2014年から始まった。しかし農村に雇用を生み出す魅力がなければ誰も農村に戻ろうとはしない。そのため農村の観光地化や都会生活を支える生花産業などを勧めるとともに、2015年からは「インターネット+(プラス)」産業を奨励して、田舎でもネット販売のステーションを持つことなどが奨励された。

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