最新記事

香港

香港警察、民主派47人を起訴 予備選開催に国家転覆共謀罪適用

2021年3月1日(月)09時38分

香港の民主派活動家47人が2月28日、香港国家安全維持法(国安法)違反を理由に起訴された。写真は、警察に出頭した香港大学元准教授の戴耀廷(ベニー・タイ)氏(2021年 ロイター/Tyrone Siu)

香港の民主派活動家47人が28日、香港国家安全維持法(国安法)違反を理由に起訴された。

民主派が昨年7月、立法会(議会)選挙に向けた非公式の予備選を行った問題で今年に入って55人が逮捕されており、香港警察はこのうちの47人を、国安法に定められた国家転覆の共謀罪を適用して起訴した。

その1人の張可森(サム・チャン)氏は「香港市民は現在、非常に厳しい時代を迎えている。誰もが香港を見捨てず、戦ってほしい」と記者団に言い残して警察署に入った。また民主派団体の1つを率いる岑子傑(ジミー・シャム)氏も「弾圧を続けたところで、われわれの信念は決して屈しない」と強調した。

主要な民主派メンバーが「一網打尽」にされたことは、香港の反政府運動にとって重大な痛手となる可能性もある。起訴された人の中には梁国雄(レオン・クオックホン)氏や朱凱迪(エディー・チュー)氏ら古くからの活動家、香港大学元准教授の戴耀廷(ベニー・タイ)氏、若手で有力な黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏、岑敖暉(レスター・シャム)氏らが含まれているからだ。

昨年の非公式予備選に関与し、現在亡命中の張崑陽(サニー・チャン)氏はロイターの電話取材で「この措置は香港の民主派を根絶やしにしたいという習近平国家主席からの非常に強烈なメッセージだ。もし国際社会が中国共産党の強権主義に対抗しなければ、習氏が勝利し、自由と民主主義は崩壊してしまう」と訴えた。

欧州連合(EU)在香港代表部は、拘束者の即時釈放を求めるとともに、今回の起訴によって香港でもはや「一国二制度」に基づく政治的多元主義が受け入れられなくなっていることがはっきりしたと懸念を表明した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



ニューズウィーク日本版 日本人と参政党
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月21日号(10月15日発売)は「日本人と参政党」特集。怒れる日本が生んだ参政党現象の源泉にルポで迫る。[PLUS]神谷宗幣インタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

維新、連立視野に自民と政策協議へ まとまれば高市氏

ワールド

ゼレンスキー氏、オデーサの新市長任命 前市長は国籍

ワールド

ミャンマー総選挙、全国一律実施は困難=軍政トップ

ビジネス

ispace、公募新株式の発行価格468円
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 2
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 5
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 6
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 7
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 8
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 10
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中