最新記事

米中関係

アメリカは2022年北京五輪をボイコットする?

China Pushes Back on 'Politicization of Sports' Amid Olympics Boycott Calls

2021年3月2日(火)16時59分
ジェニ・フィンク

バイデン政権の姿勢もボイコットへと傾きつつある(写真は五輪へ向けた北京の建設現場) Tingshu Wang-REUTERS

<コロナ隠蔽や人権抑圧を理由としたボイコット論に中国は「五輪の政治家だ」と反発>

アメリカの社会活動家や共和党の政治家は、2022年に開催される北京冬季五輪をアメリカはボイコットするべきだと訴えている。新型コロナウイルス感染症の感染拡大初期に情報を隠したとみられる中国政府の対応や、新疆ウイグル自治区のウイグル人たちに対する弾圧がその理由だ。

アメリカが過去に五輪をボイコットしたのは、1980年のモスクワ夏季五輪の一度だけだ。バイデン政権はまだ最終的な決断を下していない。だが、ジェン・サキ大統領報道官は2月25日、アメリカが参加しない可能性はあると示唆し、予定変更に関する議論は一切ないとした数週間前の発言から明確に軌道修正した。

米政府が参加を決定していないことについて質問された中国外務省の汪文斌報道官は、「五輪憲章の精神」に背く「スポーツの政治化」だと批判した。

「五輪のボイコットや開催国の変更に向かう誤った動きに対しては、アメリカオリンピック・パラリンピック委員会を含めた国際コミュニティ全体が反対するべきだ」と、汪は2月26日の記者会見で述べた。「すべての関係者の一致団結した取り組みにより、2020年北京冬季五輪はすばらしいイベントになるとわれわれは確信している」

過去にモスクワをボイコット

米国オリンピック・パラリンピック委員会は2022年のボイコットを支持していない。同委員会で広報を担当するジョン・メイソンはその理由を、ボイコットは「アスリートに悪影響を与える一方で、世界的な問題の有効な解決策にはならない」からだとCNBCに対して説明した。バイデン政権は「言うまでもなく」同委員会の指針を重視するとサキが述べていることから、現時点ではボイコットの可能性は低そうだ。だが、北京五輪開催はまだ1年も先の話だ。

40年前、当時のジミー・カーター米大統領は、アフガニスタンに侵攻したソビエト連邦が期限までに撤兵しなかったことを受け、1980年モスクワ五輪のボイコットを決断した。カナダ、西ドイツ、日本もアメリカとともにボイコットし、賛否両論を呼んだ。

ジョー・バイデン大統領に対して北京五輪のボイコットを強力に迫っているニッキー・ヘイリー元国連大使は、この五輪を1936年のベルリン五輪になぞらえている。ヒトラーはベルリン五輪をナチスのプロパガンダに最大限に利用、第二次大戦とホロコーストを引き起こした。現在の中国が「1936年当時のナチス・ドイツよりも危険であるのは明らかだ」と、ヘイリーはFOXニュースに寄稿した。

「愚かな楽観主義が溢れていた」1936年とは異なり、「中国共産党政権に関する見当違いの希望」は存在していないはずだとヘイリーは述べている。そしてその根拠として、香港の民主化運動の弾圧、パンデミックの「組織的で徹底した隠蔽」、ウイグル人の「ジェノサイド」を挙げている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=反発、イラン作戦「ほぼ完了」とのトラ

ワールド

米、ロシア産原油への制裁緩和を検討 世界原油高に対

ワールド

G7、石油備蓄放出巡り10日に協議 エネ相会合

ワールド

G7財務相会合、石油備蓄放出決定至らず 必要な措置
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    ダイヤモンドのような「ふくらはぎ」を鍛える最短ルートとは?...スクワットの真実
  • 4
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 5
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目…
  • 6
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 7
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 8
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 9
    なぜ脳は、日本的「美」に反応する? 欧米の美とは異…
  • 10
    プーチンに迫る9月総選挙の暗雲
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 6
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中