最新記事

人権問題

ロシア、反体制派指導者ナワリヌイの30日間勾留決定 欧米各国が一斉に非難

2021年1月19日(火)09時32分

ロシアに帰国直後に拘束された反体制派指導者ナワリヌイ氏(44)について、司法当局は1月18日、連邦警察の要請通りに30日間の勾留を認めた。モスクワに到着後、飛行機を降りるナワリヌイ氏、17日撮影。(2021年 ロイター/Polina Ivanova)

ロシアに帰国直後に拘束された反体制派指導者ナワリヌイ氏(44)について、司法当局は18日、連邦警察の要請通りに30日間の勾留を認めた。裁判で数年にわたる禁錮刑が言い渡される可能性があり、国連のほかドイツなどの西側諸国が同氏の即時釈放を訴えている。

昨年8月の毒殺未遂事件後、ドイツで療養していたナワリヌイ氏は17日、帰国直後にモスクワの空港で警官に拘束された。

ロシア連邦検察は裁判所に対し、同氏の30日間の勾留を認めるよう要請。同氏の広報担当者、キラ・ヤルミシュ氏はこの日、「裁判所は2月15日までの勾留を認めた」とツイッターに投稿した。裁判で数年にわたる禁錮刑が言い渡される可能性がある。

ナワリヌイ氏は警察署内からツイッターにビデオを投稿。「これは最大限の無法だ」とし、刑法を尊重していないとしてプーチン大統領を非難。「自分たちの将来のために、恐れずに街頭に出てほしい」と述べ、支持者に対し政府への抗議活動を実施するよう呼び掛けた。

モスクワではこの日、厳しい寒さにもかかわらず、同氏が拘束されている警察署の周りに約200人の支持者が集まり、釈放を訴えた。

抗議活動における拘束者状況を追跡する人権団体「OVD-Info」によると、ロシア国内ではこの日、70人以上のナワリヌイ氏支持者やジャーナリストが拘束された。

ナワリヌイ氏の支持者、レオニド・ボルコフ氏は23日に全国的なデモを実施するとツイッターに投稿した。

<対ロ追加制裁の可能性も>

国連はナワリヌイ氏の拘束を「深く懸念」していると表明。法令に基づく手続きを取るよう要請し、同氏の即時釈放を訴えた。

ドイツ、英国、フランス、イタリアの外相が即時釈放を訴えたほか、チェコの外相はロシアに対する制裁措置を検討するよう呼び掛けた。リトアニア、ラトビア、エストニアも欧州連合(EU)外相がこの日、追加的な対ロ制裁について討議するよう訴えた。欧州が追加制裁を導入する場合、独ロのパイプライン建設計画「ノルドストリーム2」が対象になる可能性がある。

米国もナワリヌイ氏の拘束を非難。バイデン次期政権で国家安全保障担当の大統領補佐官に就任するジェイク・サリバン氏がロシア政府に対し釈放を呼び掛けたほか、ポンペオ国務長官も深い懸念を表明した。

<ロシアは非難を一蹴>

ロシア外務省は国外からの非難を一蹴。ラブロフ外相は記者団に対し、西側諸国は自国が抱える国内問題から国民の関心をそらすためにナワリヌイ氏の拘束について騒ぎ立てているとし、ロシアはこうした動きによるイメージ悪化の影響は受けないと述べた。

これに先立ち、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官はフェイスブックに「国際法を尊重し、主権を侵害しないよう求める。介入は無用だ」と投稿していた。

ロシア大統領府はこれまでのところ対応を示していない。

*内容を追加しました



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



ニューズウィーク日本版 豪ワーホリ残酷物語
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月9日号(9月2日発売)は「豪ワーホリ残酷物語」特集。円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代――オーストラリアで搾取される若者のリアル

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

メルツ独首相、ウクライナ戦争の長期化想定する必要性

ビジネス

米リバースレポの利用枯渇、FRBの量的引き締めは先

ワールド

米連邦緊急事態管理局、職員の新規採用凍結を年末まで

ビジネス

EU、アドテック巡りグーグルに少額の制裁金科す見込
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 2
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマンスも変える「頸部トレーニング」の真実とは?
  • 3
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シャロン・ストーンの過激衣装にネット衝撃
  • 4
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 5
    「体を動かすと頭が冴える」は気のせいじゃなかった⋯…
  • 6
    映画『K-POPガールズ! デーモン・ハンターズ』が世…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    就寝中に体の上を這い回る「危険生物」に気付いた女…
  • 9
    シャーロット王女とルイ王子の「きょうだい愛」の瞬…
  • 10
    世界でも珍しい「日本の水泳授業」、消滅の危機にあ…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 8
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 9
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中