最新記事

アフリカ

エチオピア内戦、政府は制圧近いと発表 WHO事務局長テドロスを反政府側支援と非難

2020年11月20日(金)11時35分

エチオピア政府は19日、2週間続いている北部ティグレ州を支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)との戦闘で、政府軍が州都メケレを制圧しつつあると発表した。写真は戦闘から逃れてきた人たち。隣国スーダンで19日撮影(2020年 ロイター/Mohamed Nureldin Abdallah)

エチオピア政府は19日、2週間続いている北部ティグレ州を支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)との戦闘で、政府軍が州都メケレを制圧しつつあると発表した。また、政府軍は同国出身のテドロス世界保健機関(WHO)事務局長がTPLFを支援するよう外国に働き掛けていると非難した。

テドロス氏はツイッターでこれを否定。エチオピアの全当事者に、平和と市民の安全、人道支援へのアクセス確立を目指すよう呼び掛けた。

この戦闘では、すでに数百人が死亡し、約3万3000人が難民となって隣国スーダンに流入しており、昨年ノーベル平和賞を受賞したアビー首相が民族対立を収束させ、多民族国家をまとめられるのか疑問が投げ掛けられている。

少数民族のティグレ人を主体とするTPLFは、2年前にアビー氏が首相に就任するまで数十年にわたり、エチオピアの複数民族政党による連立政権の主軸を担ってきた。

だが、TPLFは最大民族出身のアビー首相の就任以来、ティグレ人は迫害されていると主張。一方、政府はTPLFが裏切り、ティグレ州で違法に権力を握り続けているとして対立している。

TPLFはフェイスブックへの投稿で、政府軍による19日の空爆でメケレの大学が攻撃され、多くの学生など民間人が負傷したと発表した。ロイターはこの情報を確認できていない。

ティグレ州ではインターネットも電話も遮断され、政府がアクセスを制限しているため、どの情報も検証できない状況にある。

政府からのコメントは得られていない。

エチオピアは米国の主要同盟国で、南スーダンとソマリアでの平和維持活動にも参加、アフリカでも有数の軍事力を持つ。

米大統領選で勝利を確実にした民主党のバイデン前副大統領陣営は19日、ティグレ州で戦闘が続くエチオピア情勢を懸念していると表明した。[nL4N2I52S8]

ティグレ州周辺地域では戦闘前から数十万人が食糧支援に依存する中、戦闘により海外の支援員ら数百人がすでに同州から退去しており、人道危機の拡大が懸念されている。

エチオピア国内の専門家は、政府軍が山岳地帯のティグレ州でゲリラ戦に長けたTPLFを降伏させるのは難しいとの見方を示している。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・コロナが改めて浮き彫りにした「毛皮工場」の存在
・巨大クルーズ船の密室で横行する性暴力



ニューズウィーク日本版 イラン革命防衛隊
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月24号(3月17日発売)は「イラン革命防衛隊」特集。イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

レバノン各地でイスラエルの空爆、首都中心部にも直撃

ワールド

中東紛争でLNG供給停滞、アジアは石炭へ回帰

ビジネス

JBIC、日鉄のUSスチール買収に37億ドル 総額

ビジネス

JPモルガン、英利下げ時期の予想先送り エネルギー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 3
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在の価値でどれくらい? 誰が何のために埋めた?
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったの…
  • 6
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 7
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 8
    「危険な距離まで...」豪ヘリに中国海軍ヘリが異常接…
  • 9
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 10
    モジタバの最高指導者就任は国民への「最大の侮辱」.…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 3
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 6
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 7
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 8
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 9
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 10
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中