最新記事

スマートフォン

中印対立の余波でiPhone12の製造に遅れ シャオミやOPPOなどにも影響

2020年11月26日(木)11時26分

インド当局が中国から輸入する電子製品に対する品質管理規格の認証を厳格化しているため、アップルの新型iPhoneの輸入に先月、遅延が生じたほか、中国の小米(シャオミ)などの企業の製品も悪影響を受けたことが、業界筋2人の話で明らかになった。写真はニューデリー市内でiPhoneを操作する男性。2016年7月27日に撮影。(2020年ロイター/Adnan Abidi)

インド当局が中国から輸入する電子製品に対する品質管理規格の認証を厳格化しているため、アップルの新型iPhoneの輸入に先月、遅延が生じたほか、中国の小米(シャオミ)などの企業の製品も悪影響を受けたことが、業界筋2人の話で明らかになった。

品質管理の標準づくりを担うインド規格局(BIS)への認証申請は以前は通常、15日以内に認可が下りたが、現在は長い場合に2カ月間かそれ以上かかっているという。

BISは8月に中国からのスマートフォンやスマートウォッチ、ラップトップなどの電子製品の規格認定を遅らせ始めた。6月に国境地帯で両軍が衝突し、インドの兵士20人が死亡した事件で両国関係が悪化したのを受けた。


この衝突以降、インドは中国からの投資に対する規制を強化し、騰訊控股(テンセント)やアリババ・グループを含む中国企業の数百のモバイルアプリを禁止した。24日は追加で43のモバイルアプリの禁止を発表した。

関係筋によると、アップルの新型スマホ「iPhone12」の輸入に遅延が生じた際、同社のインド法人の幹部がBISに承認手続きの迅速化を求め、インドでの組み立て業務を引き続き拡大すると約束したという。

iPhone12の認可に実際にどれだけ時間がかかったかは不明。アップルはコメントの求めに応じていない。

アップルはインドで最終製品の組み立てを行っているが、比較的新しいモデルやiPhone12は委託生産が中心の中国から輸入している。

BISのウェブサイトによると、25日時点でラップトップなど電子製品に関する認証申請1080件が承認待ちとなっており、このうち669件は申請日から既に20日以上経過しており、9月から承認待ちのものも含まれる。

台湾の緯創資通(ウィストロン)と仁宝電脳工業(コンパル)の中国の工場や中国の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)が製造する製品に関する申請も含まれている。

関係筋によると、中国のシャオミとOPPO(オッポ)製のスマートフォン輸入にも遅れがでている。

インド商工省はまた、7月にテレビの輸入業者に特別な認可の取得を義務付けることで輸入を制限した。関係筋の1人によると、シャオミや韓国のサムスン電子といった企業に悪影響が出ているという。

各社にコメントを求めたが、回答はない。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・【調査報道】中国の「米大統領選」工作活動を暴く・反日デモへつながった尖閣沖事件から10年 「特攻漁船」船長の意外すぎる末路


ニューズウィーク日本版 日本時代劇の挑戦
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月9日号(12月2日発売)は「日本時代劇の挑戦」特集。『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』 ……世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』/岡田准一 ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請、2.7万件減の19.1万件 3

ワールド

米メタ、メタバース事業の予算を最大30%削減との報

ワールド

トランプ氏、USMCA離脱を来年決定も─USTR代

ビジネス

米人員削減、11月は前月比53%減 新規採用は低迷
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 4
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 5
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 6
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 7
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 8
    【トランプ和平案】プーチンに「免罪符」、ウクライ…
  • 9
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 10
    白血病細胞だけを狙い撃ち、殺傷力は2万倍...常識破…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場の全貌を米企業が「宇宙から」明らかに
  • 4
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 5
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 6
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 9
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 10
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中