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トランプの病状は数日内に急変する可能性がある

Trump's COVID May Be at 'Crucial' Stage, Some Cases Turn Severe After Day 7

2020年10月7日(水)17時35分
カシュミラ・ガンダー

病院の会議室で電話会議をするトランプ(10月4日) Tia Dufour/The White House/ REUTERS

<入院3日でホワイトハウスに戻り、元気な姿をアピールするトランプだが、新型コロナが重症化するのはこれからだ>

ドナルド・トランプ大統領の新型コロナウイルス感染について、本格的な回復に向かうかどうかは、今後数日の容態が決め手になる、と専門家らは見ている。

トランプは10月2日にツイッターで、自分と妻のメラニアが新型コロナウイルスの検査で陽性になったことを発表。このウイルスに感染した数少ない世界的リーダーの仲間入りをした。最初に感染が確認されたのは、イギリスのボリス・ジョンソン首相だ。

主治医のショーン・コンリー医師によると、2日の夕方にウォルター・リード米軍医療センターに入院する前、トランプには軽い発熱、悪寒、鼻詰まりと咳の症状があった。コンリーは4日、血中酸素濃度が2度下がったことがあった、と説明した。

トランプはそれでも5日には退院してホワイトハウスに戻ったが、「これから数日がとても重要だ。患者の健康状態は症状が始まってから7〜10日後あたりに突然変化することがすでにわかっている。その間に治療を続けていても、急変の可能性はある」と、イギリスのマンチェスター大学教授(免疫学)で、『美しき免疫の力』(NHK出版刊)という著作があるダニエル・ディービスは語る。本誌が話を聞いた他の専門家も、同様の警告を発している。

年齢的に高い死亡リスク

症状は患者ごとに異なるため、病気がいつ、どのように進行するか予想するのは難しい、と専門家らは言う。例えば、トランプは年齢、肥満、高血圧による合併症のリスクが高い。

イギリスのイースト・アングリア大学ノリッジ医科大学のポール・ハンター教授は本誌に、正確にリスクを推定することは難しいと断ったうえで、年齢を考えると、トランプは50代の人よりも死亡する可能性が約6倍高く、同じ年配の女性と比べても死亡の可能性は約60%高い、という。

同時に、ウイルスに感染した他の3520万人の大半とは違う点もある。トランプは、世界最高の医療を受けられる。

トランプは「生き延びる可能性が高い」と、ハンターは言う。それでも、「少なくとも数週間は完全に大丈夫とはいえない。特に70代なのだから」

ジョンソンの場合は、ウイルスの陽性反応が出た10日後に集中治療室に移された。回復した後、ジョンソンはサン紙に、「何リットルもの酸素」を与えられ、新型コロナウイルス感染症で最も重症な患者向けの人工呼吸器をつけられていたことを明かした。医師団は、ジョンソンの死を発表しなければならない場合に備えた準備さえしていたという。

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