だが英バース大学の微生物病原体の専門家アンドリュー・プレストンによると、ジョンソンの回復後、いくつかの有望な治療法が見つかっている。そのなかには、抗ウイルス剤のレムデシビル、抗炎症ステロイドのデキサメタゾン、および感染と戦うために体が作り出すタンパク質を模倣するリジェネロン社の未承認の抗体カクテル療法REGN-COV2などがある。

ハンターもプレストンも、トランプの主治医が取ったアプローチについて「すべてをやりつくしている」と評価した。コンリーによると 上記の薬のほか、トランプには酸素吸入も行われ、亜鉛、ビタミン D、ファモチジン、メラトニンとアスピリンも投与されている。

こうした組み合わせで治療を受けた患者はトランプが初めてとみられ、トランプの容体はホワイトハウスの発表以上に深刻なのではないか、トランプはいわゆる「VIP待遇」で、普通の人には手の届かない治療を受けられたのではないかなど、疑問も多くあがっている。

通常、レムデシビル、REGN-COV2、デキサメタゾンを投与するのは、原則「患者が重症になったときだけ」。とくに抗炎症剤のデキサメタゾンは、重症患者でなければかえって病状を悪化させかねないとハンターは言う。これらの薬剤を一緒に使うことも普通はない。

「複数の異なる薬を投与する場合、異なる薬物間の相互作用が有益なものか有害なものかは、やってみないとわからない」と、ハンターは言う。

前人未踏の領域

プレストンも同じ意見だ。「そのような組み合わせにどういう影響があるか、データはないと思う。だから時がたってみなければわからない」

「純粋にウイルス学的な観点から言えば、これらの薬を組み合わせて早期に投与することで、新型コロナ感染による急性合併症の可能性が減ると思う」と話すのは、臨床ウイルス学者のジュリアン・W・タン英レスター大学名誉准教授だ。トランプの病気は軽度ですむと見ているが、それでも長期的な合併症が起きる可能性は排除できないという。

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