最新記事

アメリカ政治

トランプの健康状態なお不明 医師は5日にも退院と説明

2020年10月5日(月)16時21分

新型コロナウイルスに感染したトランプ米大統領の医師団は、大統領が早ければ5日にも退院できる可能性があるとの見方を示した。写真は主治医のショーン・コンリー氏。メリーランド州 で4日撮影(2020年 ロイター/Erin Scott)

新型コロナウイルスに感染したトランプ米大統領の医師団は、大統領が早ければ5日にも退院できる可能性があるとの見方を示した。だが容体は依然はっきり分かっておらず、外部の専門家からは、症状は深刻な可能性もあるとの指摘が出ている。

2日からワシントン郊外のウォルター・リード米軍医療センターに入院しているトランプ氏は、自身の回復ぶりをアピールするため複数の動画を公開。

ツイッターに投稿した4日の動画では「非常に興味深い体験だ。新型コロナ感染症について大いに学んだ」などと述べていた。

11月の大統領選に向けて民主党のバイデン前副大統領との激しい争いに直面する中、ホワイトハウスに戻ることができれば、事態正常化の雰囲気を示す一助になるかもしれない。

トランプ氏の医師団は、大統領の容体は回復しており、早ければ5日にもホワイトハウスに戻れる可能性があると述べた。

一方で、重症患者のみに通常使用されるステロイド薬「デキサメタゾン」を治療に取り入れているほか、投与期間5日の抗ウイルス薬「レムデシビル」を使った治療もまだ2日しか行っていない。

主治医のショーン・コンリー氏は4日の記者会見でトランプ氏の容体について、2日午前に高熱が見られたほか、血中酸素濃度が一時低下したため酸素吸入を行ったことを確認し、当初の説明より実際には症状が重かったことを認めた。

治療に関わっていない外部の医師らは、コンリー氏の説明以上にトランプ氏の容体は深刻だとみている。体重や年齢を考慮すると、トランプ氏は重症化のリスクが比較的高いグループに入る。

トランプ氏は新型コロナの感染拡大以降、一貫してそのリスクを矮小化し、社会的距離の指針などを軽視してきた。

4日には入院先の病院の外に車で短時間出て、支持者に手を振った。トランプ氏は、兵士や救急医療の従事者などファーストレスポンダーとも会っていると述べており、感染拡大リスクが懸念されている。

民主党のバイデン氏は9月29日のテレビ討論会後、複数回にわたる検査で陰性結果が出ている。5日には世論調査で支持率が拮抗しているフロリダ州を訪問する。

トランプ氏は最高裁判事に指名したエイミー・バレット氏の議会承認も実現したい意向だ。9月26日にホワイトハウスで行われたバレット氏の指名発表式に参加した複数の人がこれまでに新型コロナ検査で陽性と判明している。この中には、バレット氏の承認採決を行う上院の共和党議員2人も含まれる。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪総選挙、与党が政権維持の公算 トランプ政策に懸念

ビジネス

三井物産、26年3月期純利益は14%減見込む 資源

ビジネス

25・26年度の成長率見通し下方修正、通商政策の不

ビジネス

午前のドルは143円半ばに上昇、日銀が金融政策の現
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中