最新記事

米中対立

米政府、中国新疆ウイグル自治区産の綿・トマト製品の輸入禁止を準備 強制労働の疑い

2020年9月9日(水)18時55分

米政府は8日、中国新疆ウイグル自治区産の綿花とトマト製品について、強制労働で生産されている疑いがあるとして輸入禁止措置を取る方針。上海で昨年7月撮影(2020年 ロイター/Aly Song)

米政府は、中国新疆ウイグル自治区産の綿花とトマト製品について、強制労働で生産されている疑いがあるとして輸入禁止措置を準備している。措置は8日に発表される見通しだったが、米税関・国境警備局(CBP)の当局者によると、「スケジュール調整の問題」で今週後半に延期された。

綿花とトマトは中国の主要な輸出商品。他にも、同地域から輸出される織物、衣料品を含む綿製品の供給網全体やトマトペーストなどが対象になるという。

禁止措置は「違反商品保留命令」として発令される。これにより、CBPは強制労働の疑いがある商品の輸入を停止することができる。

CBP高官は「新疆産の綿織物やトマトに関連する供給網で強制労働のリスクがあるという十分な証拠があるが、まだ決定的ではない」とし、「今後も調査を続けていく」と述べた。

禁止措置は両国の緊張の高まりにつながるとみられるほか、米小売業界やアパレル業界、食品産業に大きな影響を及ぼす可能性がある。中国は世界の綿花生産の約20%を占め、ほとんどが新疆で生産されている。

中国外務省の趙立堅報道官は9日の記者会見で「米国は人権について何も気にしていない。中国企業を抑圧し、新疆を不安定にし、新疆を巡る中国の政策を中傷するための口実に利用しているにすぎない」と批判した。

中国企業の正当な権利と利益を守るために必要なあらゆる措置を講じると付け加えた。

北京に拠点を置くある綿取引業者は米国の措置による影響は限られる可能性があるとの見方を示した。中国の綿花と綿糸の輸入はそれぞれ年間約200万トンで、米国向けの繊維製品の製造には十分かもしれないと話した。

新疆の生産量は約500万トン。

この業者は、新疆の綿花を国内や西側以外の市場に回せば、米国による禁輸の影響は吸収できるのではないかと述べた。また短期的には中国は綿花の輸入を増やすことが可能と指摘した。

ロイターが入手したCBPの声明草案は、綿花・織物・トマトの供給網について、強制労働を疑わせる兆候があるとし、借金による束縛、移動の制限、隔離、脅迫、賃金の未払い、劣悪な労働・生活環境などが含まれると指摘している。

CBPは新疆生産建設兵団が生産する綿花、伊犁卓萬服飾制造と保定市緑叶碩子島商貿が製造する衣服の輸入を禁止する見込み。これらの企業は中国政府が運営する「再教育キャンプ」の労働力を使用しているという。

またロプ県工業団地と同県の第4職業技能教育訓練センターで生産される製品と合肥宝竜達信息技術が製造するコンピューター部品も禁輸の対象となる。

*中国外務省報道官の発言を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・中国・三峡ダムに過去最大の水量流入、いまダムはどうなっている?
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・戦略性を失った習近平「四面楚歌」外交の末路
・世界が激怒する中国「犬肉祭り」の残酷さ


20200915issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

9月15日号(9月8日発売)は「米大統領選2020:トランプの勝算 バイデンの誤算」特集。勝敗を分けるポイントは何か。コロナ、BLM、浮動票......でトランプの再選確率を探る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:停戦はトランプ氏の「大誤算」か、イラン体制健

ワールド

イラン、和平交渉「不合理」 イスラエルのレバノン攻

ワールド

イランの革命防衛隊、ホルムズ海峡で機雷回避するため

ワールド

北朝鮮、6─8日に戦術弾道ミサイルの弾頭実験など実
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 2
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 3
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 4
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 5
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 6
    キッチンスポンジ使用の思いがけない環境負荷...マイ…
  • 7
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 8
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 9
    アメリカとイランが2週間の停戦で合意...ホルムズ海…
  • 10
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 4
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 5
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 8
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 9
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 10
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中