最新記事

リモートワーク

「従業員全員リモートワーク」のキャスターCOOが語る、コロナ後の働き方

2020年9月29日(火)11時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

「リモート」の多くの問題はそもそもの「ワーク」にあるとキャスターの石倉COOは指摘する

<リモートワークで自由になるのはあくまで働く場所だけ。時間が自由になるわけではなく、チームで働いていることに変わりはない>

コロナ禍によって、これまで出社が当たり前だった日常から、リモートワークに移行している企業が増えてきている。急激な変化の中、自宅でもストレスなく集中して働くことができる人がいる一方、うまく仕事が進められない、成果が上がらないと感じている人も多いのではないだろうか。また、どうマネジメントをすればいいか悩むマネージャー層もいるだろう。

そこで注目を集めているのが、「700名のスタッフほぼ全員がリモートワーク」という働き方をすでに6年実践している、株式会社キャスターのCOO(最高執行責任者)を務める石倉秀明だ。その経験と実例をもとに新著『会社には行かない』(CCCメディアハウス)を上梓した石倉に、リモートワークの問題点、導入のポイント、マネジメント法、そしてリモートワークがこれからの社会に与える影響について詳しく聞いた。

◇ ◇ ◇



――リモートワークだと仕事が進めづらい、コミュニケーションが取りづらい、マネジメントがしづらいといったことがよくいわれる。リモートワークでは何に気をつければいいのか?

まず、「リモート」が問題なのではなく「ワーク」が問題になっている、ということを最初に伝えなければならない。たとえば、みんなが出社して働いているときは、コミュニケーションに行き違いはなかったのか? 社員の評価は適切に、完璧にできていたのか? 誰もが満足するチームビルディングができていたのか?

もし、できているのであれば、仕事の進め方や人間関係、マネジメントに悩む人は少なかったはず。でも、実際はできていない。つまり、リモートワークだからできないということではなく、そもそもこれらは難しいことだ。

仕事をする中では様々な課題が出てくるが、それらの根本原因は「働く場所」ではなく、あくまで「仕事」の問題。その「仕事」の問題が「リモート」になると、さらに解決が難しいように感じる人が多くなるのかもしれない。

――言われてみると、たしかに問題は「リモート」ではなく「ワーク」にあることがわかる。それでは、成果を出せる人と出せない人、その違いはどこにあるのか? 

僕がCOOを務めるキャスターは700人ほぼ全員がリモートワークだが、特別な才能を持っている人は多くはないと思う。キャスターに来るまでは同じ会社に長く勤められなかったり、自身の能力を発揮できなかったりといった人もいる。ただ、いまキャスターで働いている人はみんな、「当たり前のことを当たり前にできる人」ばかりだ。

たとえば、「約束を守る」「わからないことがあれば質問をする」「仕事が終わらないなら早めに相談する」「表と裏で違うことを言わない」といった、働く基本ともいうべきことがしっかり実践できる。こうしたことを積み重ねていくことで、仕事で関わる人に安心感を与えられる。それが成果に繋がっていくと僕は考えている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 5
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 6
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 7
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 8
    三船敏郎から岡田准一へ――「デスゲーム」にまで宿る…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中