最新記事

中東

サウジ、カショギ殺害で被告8人に禁錮7─20年の判決 死刑を減刑

2020年9月8日(火)10時42分

サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏が2018年に殺害された事件で、同国の裁判所は、8人の被告に禁錮7─20年の最終判決を言い渡した。写真は2019年10月、ワシントンのサウジアラビア大使館前で、カショギ氏を追悼するジャーナリストの保護団体(2020年 ロイター/Sarah Silbiger)

サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏が2018年に殺害された事件で、同国の裁判所は7日、8人の被告に禁錮7─20年の最終判決を言い渡した。被告の氏名は公表されていない。国営メディアが報じた。

サウジ刑事裁判所は昨年12月、5人に死刑判決、3人に禁錮刑を言い渡したが、カショギ氏の遺族は今年5月、被告らを許す意向を表明しており、これが減刑につながったとみられる。

国連当局者や人権活動家からは、殺人の首謀者らが拘束されずに自由なままだとの非難の声が上がった。

サウジ政府に批判的だったカショギ氏は、婚約者ハティジェ・ジェンギズ氏との結婚に必要な書類を取得するために訪れたトルコのイスタンブールのサウジ総領事館で殺害された。事件を巡ってはムハンマド・ビン・サルマン皇太子の関与が疑われていた。

ジェンギズ氏は判決について、殺人に関与したのは禁錮刑となった8人だけではないと指摘。発表文書の中で「サウジ当局は国際社会に真実を知らせることなく、この事件を終わらせようとしている。誰が計画し、誰が命じたのか。彼の遺体はどこにあるのか」と述べた。

国連の特別調査官、アグネス・カラマール氏は、事件の黒幕である高官らに処罰を与えず「司法を踏みにじった」とサウジ当局を非難。ツイッターへの投稿で、裁判は公平でも透明でもなく、「サルマン皇太子の責任が問われることはなかった」と述べた。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東・北アフリカ地域副ディレクターのアダム・クーグル氏も、「サウジの訴訟プロセスが政府高官をいかなる監視の目からも守っているという事実を(個人に対する有罪判決によって)隠すことはできない」と述べた。

また、7月にサウジ当局者20人に対する公判を開始したトルコは、サウジ裁判所の判決について期待外れだと指摘。トルコの捜査に協力するよう、サウジ当局に求めた。

米国務省の当局者は、判決に関する報道を受け、米国はこの事件に関する「サウジの訴訟プロセスを注視」しているとコメント。「サルマン国王が『凶悪犯罪』に分類したカショギ氏殺害に関与した全ての人物に責任を負わせるようサウジ当局に求める」とした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ロシア開発のコロナワクチン「スプートニクV」、ウイルスの有害な変異促す危険性
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず

・ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死


20200915issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

9月15日号(9月8日発売)は「米大統領選2020:トランプの勝算 バイデンの誤算」特集。勝敗を分けるポイントは何か。コロナ、BLM、浮動票......でトランプの再選確率を探る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

高市首相、応援演説で円安メリットに言及 米関税のバ

ワールド

米政府機関の一部が閉鎖、短期間の公算 予算案の下院

ビジネス

中国1月製造業PMIが50割れ、非製造業は22年1

ワールド

トランプ氏、労働統計局長にベテランエコノミスト指名
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵士供給に悩むロシアが行う「外道行為」の実態
  • 4
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 5
    「着てない妻」をSNSに...ベッカム長男の豪遊投稿に…
  • 6
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 7
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 10
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 6
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 7
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 8
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 9
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 10
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中