最新記事

ビジネス

「年収1000万超え」カリスマタクシー運転手の仕事術 コロナに負けず稼げる人はここが違う

2020年9月18日(金)18時55分
栗田 シメイ(ライター) *東洋経済オンラインからの転載

吉田さんの売上台帳を見ると、わずか1人の乗車で6万円近い金額が記されていた。

「コロナ前の去年の段階で月の売り上げは130万~160万円前後。そこから諸経費などを引いた月の収入にすると、だいたい90万円前後くらいに落ち着くかな。今は感覚的にその1~2割減といったところですかね。正直、今売り上げを上げられているのは、自分の顧客をしっかりもっている人だけでしょうね」

なぜタクシードライバーを選んだのか

東京都中野区で生まれた吉田さんがタクシードライバーになったのは、21歳のとき。学生時代は地元でも筋金入りのワルとして名を馳せ、20歳まではいわゆる"不良"として人生を歩んできた。

だが、厳しい上下関係や理不尽な締めつけに嫌気がさし、唐突にドライバーを志したという。タクシー業界に入ったのは、「運転が好きだったから」という程度の理由だった。その後は5社の法人を渡り歩いたあと、40歳で個人ドライバーとなっている。

その道、45年以上のベテランだ。本人曰く、まさかこの年齢まで続けるとは思わなかった。その一方で「この仕事を天職だ」と感じる自分もいるという。

「1970年代なんかは、やればやるだけ稼げたから、仕事が面白くてね。それで本腰入れて仕事に向き合うようになりました。やるからには稼ぎたいし、そのための方法論はいろいろ考えてきた。

今でも20代のときにつけていたノートを見返して、顧客の動向分析なんかするけど、実は人の動きはそんなに変わらないのよ。勉強は嫌いだったけど、仕事を学ぶことは好きでしたね。生まれてこの方、勉強なんかしたことなくて、個人ドライバーになる際の地理試験で初めて勉強したくらいだから(笑)」

一般的に、タクシーの書き入れ時は深夜だとされる。だが、吉田さんの勤務時間は早朝の5時から夕方程度まで。稼げる時間を避けて、なぜそれだけの売り上げがあるのかというと、売り上げの実に95%近くを固定の予約客が占めるからだ。

吉田さんのスケジュール帳は、予約客の名前で埋め尽くされている。中には一部上場企業の幹部や、有名人、海外VIPの名前が連なっていた。月イチ程度で利用する客は50人を超え、海外在住の客も多い。吉田さんは、それだけ多くの顧客から選ばれるドライバーであるということだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英仏独、対イラン国連制裁復活へ手続き開始 核問題巡

ワールド

ウクライナ「安全保証」枠組み、来週にも策定へ=ゼレ

ワールド

ロ、ウクライナ和平交渉の推進に引き続き関心=大統領

ビジネス

米中古住宅仮契約指数、7月は‐0.4% 高金利と雇
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ」とは何か? 対策のカギは「航空機のトイレ」に
  • 2
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 5
    「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「…
  • 6
    米ロ首脳会談の後、プーチンが「尻尾を振る相手」...…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「風力発電」能力が高い国はどこ…
  • 9
    【クイズ】1位はアメリカ...稼働中の「原子力発電所…
  • 10
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 8
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 9
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 10
    「このクマ、絶対爆笑してる」水槽の前に立つ女の子…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中