最新記事

ビジネス

「年収1000万超え」カリスマタクシー運転手の仕事術 コロナに負けず稼げる人はここが違う

2020年9月18日(金)18時55分
栗田 シメイ(ライター) *東洋経済オンラインからの転載

コロナ禍の中でも年収1000万円を稼ぐ吉田さん(仮名)。その秘訣には他業種のビジネスパーソンにも通じる部分があった(写真:筆者撮影)

年収1000万円を超えるタクシードライバーは存在するのか――。一部大都市圏に限定され、その中でも上位1%にも満たないといわれる割合だが、高所得ドライバーは確かに生き残っている。

彼らはどのように売り上げを上げているのか。前後編2回に分けて、個人、法人の業界トップランナーの肖像を紹介していく。

コロナ禍で2極化するドライバーの収入

newsweek_20200918_163309.jpg

客待ちのクルマが列をなす羽田空港のタクシー乗り場(写真:筆者撮影)

運に左右されると思われがちな、タクシードライバーの収入。だが、この認識は大きな間違いだ。

いわゆる「稼ぐドライバー」は緻密な計算や分析の下、コロナ禍の中でも売り上げを確保している。外出自粛などによって全体のパイが減っている中で、ドライバーたちに格差が生じているのも現実である。

「都内に限れば、個人の一部、法人の各営業所のエースと呼ばれる人たちは、年収1000万円は超えてきますね」

取材を通して知り合った、ある都内のタクシー会社の幹部はこう断言する。この幹部によれば、一部の稼げるドライバーに仕事が集中しており、彼らの仕事術には明確な差異があるという。

羽田空港国際線ターミナルを出たタクシー乗り場に、尋ね人はいた。お盆どきの取材当時、羽田着の国際線は1日にわずか4便。羽田空港はゴーストタウンと化し、人の出入りもほとんどなかった。

そんな状況にもかかわらず、タクシー乗り場では客待ちのタクシーが列をなしていた。だが、列はいつまで経っても動かず、ドライバーの大半は休憩時間とばかりに車中で眠りについている。

そんな中でひときわ目立つ、大型のアルファードから降りてきたドライバーがいた。

約束した取材場所に現れた吉田さん(仮名・60代)は、この日早朝から馴染みの顧客を鎌倉で乗せ、都内での買い物に付き合ったあと、再び鎌倉へと戻るルートを走り終えてきたという。時計の針は15時を回った程度の早い時間だが、すでに本日は店じまいの予定だ。

吉田さんは「このご時世で無理しても仕方ない」という理由で3~6月は全休したという。それでも復帰後は、コンスタントに1日6、7万円を売り上げている。

コロナ前の東京都の繁忙期の上がりを1日5万円ベースと想定すると、大半のドライバーが3~5割減といった数字に急落しているのが現状だ。そういった背景を考えると、この数字がいかに特異か理解できる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA

ビジネス

根強いインフレ、金融安定への主要リスク=FRB半期
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中