最新記事

米中対立

トランプ、TikTokのバイトダンスに加えWeChatのテンセントとも取引を45日以内に禁止へ

2020年8月7日(金)18時55分

トランプ米大統領は、短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を傘下に置く中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)と対話アプリ「微信(ウィーチャット)」を運営する中国の騰訊控股(テンセント)との取引を45日以内に禁止する大統領令に署名した。7月16日撮影(2020年 ロイター/Florence Lo)

トランプ米大統領は6日、短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を傘下に置く中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)と対話アプリ「微信(ウィーチャット)」を運営する中国の騰訊控股(テンセント)との取引を45日以内に禁止する大統領令に署名した。

トランプ政権は今週、「信頼できない」中国製アプリを米国のデジタル網から排除する取り組みを強化すると表明。ティックトックとウィーチャットは米国民の個人情報に対する「重大な脅威」との認識を示していた。

大統領令は、制裁対象に指定した団体などとの米企業や米国民の取引を制限する権限を政権に認める「国際緊急経済権限法(IEEPA)」に基づいている。

ロス商務長官は9月半ばに禁止措置が発効してから対象となる取引を特定する見通し。

米シンクタンク、戦略国際問題研究所のジェームズ・ルイス氏は、今回の大統領令は5日に発表された中国製アプリなどを排除する計画と相互補完的な動きだと指摘。

「米中のデジタル世界の断絶を意味する」とし、「中国は間違いなく報復するだろう」と述べた。

同氏によると、米国内のウィーチャット利用者は約300万人にとどまっており、大半が中国人。

中国外務省の汪文斌報道官は7日の記者会見で、これらの企業は米国の法律と規制に従っているとし、米国は行動の結果を受け入れなければならないと警告した。

「米国は国家安全保障を口実にして、国家権力を用いて外国企業を力をによって圧迫している。まさしく覇権主義的なやり方だ」と非難した。

テンセントの株価は取引禁止のニュースを受けて一時10%下落した。

トランプ氏は週初にティックトックの米国事業がマイクロソフトに売却される可能性について、米政府に売却益の「かなりの部分」がもたらされるなら支持すると表明。合意が成立しなければ9月15日付で同サービスを禁止するとした。

米国内のティックトックの利用者は1億人と、人気が高い。これを禁止した場合の政治的な悪影響について共和党から懸念の声が出ている。

大統領令は、ティックトックは中国共産党を利する虚偽情報キャンペーンに利用される可能性があり、米国は「国家の安全を守るため、TikTokのオーナーに対して強い措置を取る必要がある」とした。

別の大統領令はウィーチャットについて、「利用者から自動的に膨大な情報を収集している。このデータ収集が中国共産党による米国民の個人および機密情報の入手を可能にする恐れがある」とした。

「適用法が認める範囲内で、米国の管轄範囲の全ての人による、全ての資産に関する、テンセントとのウィーチャット関連取引」を禁じるとしており、米国内での事実上のウィーチャット利用禁止となる。

テンセントの広報担当は「状況を完全に把握するため、大統領令を精査している」と述べた。

バイトダンスはコメントを控えた。

ティックトックは声明で「当社は適切な手続きを経ずに出された大統領令に衝撃を受けている」とし、「法の支配が放棄されないように利用可能なあらゆる救済措置を探っていく」と表明した。

中国では、フェイスブックの対話アプリ「ワッツアップ」など米国のソーシャルメディアのサービスがブロックされている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・ヒューストンの中国総領事館はコロナ・ワクチンを盗もうとしていた?
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・中国・三峡ダム、警戒水位を16m上回る 長江流域で支流河川に氾濫の恐れ、住民数千人が避難路
・世界が激怒する中国「犬肉祭り」の残酷さ


2020081118issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
楽天ブックスに飛びます

2020年8月11日/18日号(8月4日発売)は「人生を変えた55冊」特集。「自粛」の夏休みは読書のチャンス。SFから古典、ビジネス書まで、11人が価値観を揺さぶられた5冊を紹介する。加藤シゲアキ/劉慈欣/ROLAND/エディー・ジョーンズ/壇蜜/ウスビ・サコ/中満泉ほか

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、中東鎮静化へ活発外交 外相が欧独サウジと相次

ワールド

トランプ氏、ボンディ司法長官解任 エプスタイン疑惑

ワールド

マクロン氏、武力による海峡開放「非現実的」 イラン

ビジネス

FRB、不確実な経済に対応可能 中東戦争で見通し困
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 2
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受給年齢」
  • 3
    破産申請の理由の4割以上が「関税コスト」...トランプ関税が米国民に与える「破産」の苦しみ
  • 4
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 5
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 6
    先進国が出生数の減少を嘆く必要はない? 「経済的…
  • 7
    日本の男女の賃金格差は世界でも突出して大きい
  • 8
    「一般市民に敵意なし」...イラン大統領が米国民宛て…
  • 9
    自国の国旗損壊を罪に問うことの深刻さを考える
  • 10
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 8
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 9
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中