最新記事

香港

香港投資家、英国不動産に殺到 国家安全法恐れ移住目的で

2020年8月30日(日)12時56分

中国政府が香港の統制を強める香港国家安全維持法が施行されたことを受けて、旧宗主国である英国の不動産を求める香港の人々が増えている。写真は6月、ロンドンで撮影(2020年 ロイター/Simon Newman)

中国政府が香港の統制を強める香港国家安全維持法(国安法)が施行されたことを受けて、旧宗主国である英国の不動産を求める香港の人々が増えている。

不動産仲介業者によると、過去2カ月で香港の投資家が購入したアパートメント数は2倍以上となっており、個人で利用するための購入が伸びの大部分を占めている。

英国政府は7月、国安法の施行を受けて、約300万人いる海外在住英国民(BNO)パスポートを保有する香港の住民に対して、英市民権取得の道を開いた。

ロンドンの不動産仲介業者ベナム&リーヴスは香港の約1000顧客に英国不動産を貸し出している。ディレクターのMarc von Grundherr氏は「既存顧客からこれほど多くの問い合わせを受けたことはない」と語る。

2014年以来のポンド安、および価格が50万ポンド(65万4400ドル)を下回る住宅を対象とする印紙税特例も香港投資家による英国不動産購入を後押ししている。

ロンドンの不動産仲介業者アーリントン・レジデンシャルは、過去2カ月で10件以上の契約をまとめた。通常なら1年間で達成する数字だという。香港の中原地産は、7月だけで60軒前後のアパートメントを販売し、供給不足のために顧客が順番待ちをしていると明らかにした。

香港の投資家は30万─5000万ポンド(39万─6550万ドル)の住宅ならどこの立地でも購入しており、マンチェスターやブリストルといったロンドン以外でより安価な物件を求める動きも強まっている。

ナイト・フランクのデータによると、ロンドン中心部に投資する外国人勢力として香港の投資家は過去12カ月で中国、米国、インド、ロシアに次ぐ5位の大きさとなり、1つ順位を上げた。購入に占める割合は4%で、2016年の2.5%から上昇した。

香港人のウィニー・トンさん(40)は小さい子どものことを考えバーミンガムへの移住を望んでいる。しかし、「質の良い住宅は全て売れており、価格は上がっている。今は英国(の不動産)に飛び付いている香港人があまりに多い」と話した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・中国・三峡ダムに過去最大の水量流入、いまダムはどうなっている?
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・戦略性を失った習近平「四面楚歌」外交の末路
・世界が激怒する中国「犬肉祭り」の残酷さ


20200901issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年9月1日号(8月25日発売)は「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集。人と物の往来が止まり、このまま世界は閉じるのか――。11人の識者が占うグローバリズムの未来。デービッド・アトキンソン/細谷雄一/ウィリアム・ジェーンウェイ/河野真太郎...他

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベネズエラ、今月初めの米軍による攻撃で兵士47人死

ワールド

EU、重要インフラでの中国製機器の使用を禁止へ=F

ワールド

イラン抗議デモ、死者3000人超と人権団体 街中は

ワールド

韓国、米のAI半導体関税の影響は限定的 今後の展開
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手がベネズエラ投資に慎重な理由
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 5
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 8
    イランの大規模デモ弾圧を可能にした中国の監視技術─…
  • 9
    日中関係悪化は日本の経済、企業にどれほどの影響を…
  • 10
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 6
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 10
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中