最新記事

香港の挽歌

香港で次に起きる「6つの悪夢」 ネット、宗教、メディア...

FAREWELL TO HONG KONG’S FREEDOM

2020年7月9日(木)06時50分
サラ・クック(フリーダム・ハウス上級アナリスト)

警察や催涙ガスから逃れたデモ参加者をかくまった教会。天安門事件を記念するミサや集会を開いたカトリック教会。本土から香港を訪れた中国人に共産党やその青年組織からの脱退を呼び掛け、中国政府の人権侵害を訴えた法輪功の活動家──。宗教関係者は新法によって信仰が規制され、本土で行われているような拘束や拷問の対象になるのではないかと恐れている。

◇ ◇ ◇

国家安全維持法の施行については、香港の親中派も発表の48時間前まで知らされていなかったようだ。新法を成立させた全国人民代表会議に出席していた香港の代表を含め、親中派の政治家は「寝耳に水だった」と語っている。党指導部が香港当局者をこれほどまで信頼していないなら、新法施行に際して香港の慣行や制度を尊重する可能性は低い。

中国本土の法律は当局に最大限の裁量を与えるため、あえて曖昧な表現を使っていることがよくある。今日は違法と見なされなくても、明日には扇動罪や政府転覆罪で拘束されかねない。

だから必要なのだ。国家安全維持法の適用状況に目を光らせることが。そして香港の政治体制がいつどこで道を踏み外すかを注視することが。

From Foreign Policy Magazine

<2020年7月14日号「香港の挽歌」特集より>

【話題の記事】
中国・三峡ダムに「ブラックスワン」が迫る──決壊はあり得るのか
中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで浮上する第2の道とは

20200714issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年7月14日号(7月7日発売)は「香港の挽歌」特集。もう誰も共産党を止められないのか――。国家安全法制で香港は終わり? 中国の次の狙いと民主化を待つ運命は。PLUS 民主化デモ、ある過激派の告白。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB当局者、利下げ急がない方向で一致 インフレ鈍

ビジネス

訂正-NY外為市場=ドル上昇、米指標やFRB高官発

ビジネス

中東情勢悪化、世界経済に大きなリスク=独財務相

ビジネス

訂正-4月米フィラデルフィア連銀業況指数、15.5
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中