最新記事

人種問題

「アフリカ系アメリカ人」「黒人」、どちらが正しい呼び方?

2020年6月22日(月)18時20分
松丸さとみ

「アフリカ系アメリカ人」と呼ぶべきか、議論が活発になっている...... REUTERS/Carl Recine

<「Black Lives Matter」運動をきっかけに、アメリカでは「アフリカ系アメリカ人」と呼ぶべきか、「黒人」と呼ぶべきなのか、という議論が活発になっている......>

BLM運動で活発化した「どう呼ぶか」問題

ジョージ・フロイドさん死亡事件を機にアメリカで盛り上がっている、「Black Lives Matter」(黒人の命は大切だ」運動だが、これをきっかけに、アメリカでは「アフリカ系アメリカ人」と呼ぶべきか、「黒人」と呼ぶべきなのか、という議論が活発になっている。

CBSニュースは、「多くの人は、差別的な言い方をしないようにしたいとか、礼儀正しくありたい、という思いから、『アフリカ系アメリカ人』(African American)という言い方が基本だと考えている」と指摘している。日本でも、この流れから「アフリカ系アメリカ人」という言い方が失礼でなく、正しい言い方だと認識している人が多いだろう。

CBSニュースは、「アメリカ史において長い間、黒人といえは、奴隷としてアメリカに連れてこられたアフリカ人の直系の子孫がほとんどだった」と説明し、この呼び方の背景を説明する。また米ワシントンポスト紙によると、1980年代に公民権運動の活動家ジェシー・ジャクソン氏が、アフリカ系アメリカ人という言葉を標準化するよう活動し、この表現が学術界で長く使用されてきたという。

ハワード大学のグレッグ・カール准教授は米首都ワシントンのメディアWUSA9に対し、自分たちをアフリカ系アメリカ人と呼ぶことで、アフリカ人としてのルーツを誇りつつ、アメリカ人としての権利もあると主張しているのだと説明している。

ただアメリカにいる黒人の人たちをどう表現するかという議論は、今になって突然始まったものではなく、カール准教授は「これまで常に議論されてきた」と指摘する。実のところ同准教授のインタビュー記事も、BLM運動が始まる1年前の昨年5月に掲載されたものだ。

当人がどう感じるかが重要――SNSでのアンケートでは

アメリカはさまざまな国からの移民で成り立っている国であり、アメリカにいる黒人は、アメリカにおける奴隷制度とは何の関係もない人たちも増えてきた。

【話題の記事】
「ドイツの黒人はドイツ人とは認められない」 ベルリンで起きた共感のデモ
動画:「鶏肉を洗わないで」米農務省が警告 その理由は?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国航空会社2社、エアバス機購入計画発表 約82億

ワールド

コロンビア、26年最低賃金を約23%引き上げ イン

ワールド

アルゼンチン大統領、来年4月か5月に英国訪問

ワールド

中国軍、台湾周辺で実弾射撃訓練開始 演習2日目
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 5
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 6
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 7
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中