最新記事

全米騒乱

ホワイトハウスの照明を消して中に隠れた弱虫トランプ

White House Says Lights Go Out Same Time 'Almost Every Night'

2020年6月2日(火)18時50分
シャンタル・ダシルバ

Jonathan Ernst- REUTERS

<翌日、ホワイトハウス前で平和的なデモを行っていた市民は、催涙ガスとゴム弾で蹴散らされた>

ホワイトハウスを照らすライトアップが5月31日夜、一斉に消えた。ホワイトハウス側は珍しいことではないと述べたが、首都ワシントンD.C.では当時、黒人男性ジョージ・フロイドが警官に首を押さえつけられて死亡した事件をめぐって抗議行動が巻き起こっており、同日午後7時から夜間外出禁止令が敷かれていた。

ホワイトハウスの周辺は、数カ所で放火されるなど混乱に包まれていた。抗議行動の参加者たちは、フロイドを逮捕しようとした白人警官デレク・ショービンが、フロイドの首を膝で押さえつけて死亡させた事件について、公正な裁きを求めていた。

ホワイトハウスに隣接するラファイエット広場では5月31日、抗議の市民数百人が集結した。そして午後7時、外出禁止令の時間になると、ホワイトハウス北側の外部照明が消えた。英ガーディアン紙によると、「通常は大統領が死亡したときしか消されることはない照明」だ。ホワイトハウス報道官ホーガン・ギドリーは6月1日本誌に対し、「珍しいことではない」と述べた。「ホワイトハウスの照明はほぼ毎晩、11時に消されている」

しかしデモ隊と警察が衝突し、街では略奪も横行したこの日、トランプはホワイトハウスの地下壕にいたと報道されている。

そして翌日には、ホワイトハウス前のラファイエット広場で平和的なデモを行っていた人々を警察が催涙ガスやゴム弾を使って追い出したのだ。

ツイッター上ではユーザーたちが続々と、ホワイトハウスの照明が消えた理由について投稿を始めた。

大統領「不在」は議会が埋める

政治アナリストのジャレッド・イエーツ・セクストンは次のようにツイートした。「ほかの一見屈強な男たちのように、ドナルド・トランプも腰抜けで軟弱でおびえている。照明を消してホワイトハウスに隠れたことがその証拠だ。彼らは自信のない哀れで器の小さい男たちであり、自分の恐怖心を隠すためにファシズムを掲げている」

ニュースサイト「デイリー・ビースト」の編集主幹モリー・ヨング・ファストは、トランプが抗議行動を受けて一時ホワイトハウスの「地下壕」に逃げ込んでいたという報道を引き合いに出しながら、こう述べた。「大統領は文字通り、ホワイトハウスに潜んでライトを消した。信じられない事態だ」

プライド月間の6月、2015年(オバマ大統領時代)に虹色にライトアップされたホワイトハウスだが


民主党選出の下院議員ロリ・トラハンは、トランプはアメリカ人に「背を向け、ライトを消した」と非難した。

「思慮深く思いやりのあるホワイトハウスの指導力を私たちが最も必要としているときに、トランプはライトを消し、変化を求めて叫ぶ人たちに背を向けた」とトラハンは述べ、議員たちに対して次のように呼びかけた。「大統領が指導力を発揮できないのであれば、連邦議会がその空隙を埋め、困難に対処しなくてはならない」

(翻訳:ガリレオ)

<参考記事>トランプはデモ鎮圧に米軍を投入するのか

20200609issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月9日号(6月2日発売)は「検証:日本モデル」特集。新型コロナで日本のやり方は正しかったのか? 感染症の専門家と考えるパンデミック対策。特別寄稿 西浦博・北大教授:「8割おじさん」の数理モデル

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 3
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中