最新記事

感染第2波

米、新型コロナ感染が25%急増 テキサスなど12州は最多記録

2020年6月24日(水)12時08分

ロイターの分析によると、米国で21日終了週に新型コロナウイルスの新規感染者数が25%急増した。写真はフロリダ州マイアミの病院で2019年18日撮影(2020年 ロイター/MARCO BELLO)

ロイターの分析によると、米国で21日終了週に新型コロナウイルスの新規感染者数が25%急増した。感染者は25州で前の週から増加、うち10州では50%超拡大した。テキサスやフロリダ、アリゾナなど12州では増加数がこれまでの最多を記録した。

週間での増加は3週連続。増加率は前週の1%から大幅に加速した。

テキサス州で確認された感染者は2万4000人と、前週から84%急増。検査の陽性率も7%から10%に上昇した。

フロリダ州も前週比87%急増の約2万2000人。陽性率は11%と、前週からほぼ倍の水準に達した。

アリゾナ州では90%増の1万7000人。陽性率も20%となった。

世界保健機関(WHO)によると、陽性率の5%超えは極めて懸念される水準とされる。

これら3州の知事はいずれも、検査拡大のほか、若年層がソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)を順守してないことを感染者数増加の要因と説明。しかし、一部保健当局者は3州が適切な制限を設けることなく、時期尚早に経済再開に踏み切ったこと批判している。

一方、13州と首都ワシントンDC(コロンビア特別区)では感染者数が減少。とりわけ、感染が深刻だったニューヨーク州では10週連続で減少。検査の陽性率も1%前後となっている。

1日当たりの新規感染者数も複数の州で急増している。テキサス州では22日の新規感染者が5000人を超え、1日としての最多を記録した。入院者数も11日連続で最多を記録し、主要都市ヒューストンの小児病院では大人のコロナ患者を受け入れる事態となっている。

ロイターの集計によると、カリフォルニア州で22日に報告された新規感染者は6000人を超え、過去最多となった。同州では農業地帯で感染者が急増しており、ローダイの病院は新型コロナ以外の患者受け入れを一部制限している。

アリゾナとネバダ州は23日の新規感染者数がこれまでの最多となったほか、ルイジアナ州では4月7日以来最多となる1300人超に達し、ミシシッピ州の増加も過去最多となった。

多くの州で入院患者数も増加。アリゾナ州では23日の入院患者数が2100人超と、2週間前から70%増加した。州政府のウェブサイトによると、集中治療室(ICU)の空きは16%となっている。

こうした中、西部ワシントン州のインスリー知事は23日、住民に公共の場でのマスク着用を命じた。米国ではこのほか約12の州や一部の主要都市がマスク着用に関するルールを導入している。

トランプ大統領はツイッターへの投稿で「米国で感染者数が増加しているのは、他の国よりも大規模な検査を実施しているからだ。検査が小規模であれば、感染者数はもっと少なくなっていたはずだ!」とし、感染拡大ではなく検査が感染者増加の要因という見方を改めて示した。

トランプ政権の新型コロナウイルス対策本部を主導する国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長は同日、下院エネルギー・商業委員会で証言。複数の州で市中感染が増加しているとし、「これらの州の感染拡大への対応は向こう数週間が正念場になる」と述べた。

米紙ニューヨーク・タイムズはこの日、米政府による新型コロナウイルス流行への対応が十分でないことを理由に、欧州連合(EU)諸国が米国からの渡航禁止措置を当面維持する可能性があると報じた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・スウェーデンが「集団免疫戦略」を後悔? 感染率、死亡率で世界最悪レベル
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・東京都、新型コロナウイルス新規感染31人を確認 6日連続で20人超え
・韓国、日本製品不買運動はどこへ? ニンテンドー「どうぶつの森」大ヒットが示すご都合主義.


20200630issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月30日号(6月23日発売)は「中国マスク外交」特集。アメリカの隙を突いて世界で影響力を拡大。コロナ危機で焼け太りする中国の勝算と誤算は? 世界秩序の転換点になるのか?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中