最新記事

中国

休業補償、中国の場合

2020年5月1日(金)13時24分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

さらに2月7日の通知では就業安定補助金交付基準の緩和、工会経費・企業組織会費などの返却、2月20日の通知では中小企業や零細企業の社会保険料の免除が発表された。

2月9日には故郷における春節の大型連休を終え、それぞれが職場に戻るはずだった農民工に対して移動を禁止するわけだから、その補償が必要になる。

農民工を含めて中小企業や零細企業に対する補償に関しては、前年度納付した失業保険金の50%返却を基本として、「+α」の補助を行う。

どうやら、中小企業のリストラ率がある基準を下回ると、失業保険の還付金がもらえ、失業保険に参加している職員数が30人以下の企業なら、リストラ率が20%以下なら 失業保険の還付金がもらえるという計算になるようだ。

これは地方によって待遇が異なり、湖北省などでは「解雇率が5.5%以下の場合は、前年度納付した70%の失業保険金を返却する」となっており、最近は「5.5%以下なら100%返却、5.5%以上なら70%返却」になっている。また湖北省では、3月21日の時点で、雇用人数500人以下の企業10万社に対して雇用安定補助金5.58億人民元(84.5億円)を還付した。還付対象となる企業の雇用人数は230万人に達する。

一方、大卒生の就職問題に関しては、ネットで面接をして採用するように指示を出し、実際に実行された。

コロナ防疫期間のテナント代などに関して

飲食店を始め、多くの商店は大きなビルの一室をテナントとして借りて商売をしている。しかし営業をしてはならないとなれば、売り上げがゼロになるだけでなく、テナント代(家賃)の支払いは継続して発生するので実収入はマイナスになる。一ヵ月もしないで倒産へと追い込まれるだろう。

そこで全国レベルの政策としては、基本的に「国有不動産の場合はテナント代に関しては2月(あるいは2月と3月)を免除とする(実際上は4月まで免除となったケースが多い)、民間不動産の場合はテナント代を削減することを提唱する」となっている。

中国は国土が広大で地方格差が激しいため、テナント代の補償に関しては全国一律の政策が出しにくく、各地方政府によってさまざまな方法が試みられ、初期のころには混乱も起きている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金与正氏、日米韓の軍事訓練けん制 対抗措置

ワールド

ネパール、暫定首相にカルキ元最高裁長官 来年3月総

ワールド

ルイジアナ州に州兵1000人派遣か、国防総省が計画

ワールド

中国軍、南シナ海巡りフィリピンけん制 日米比が合同
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 3
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 5
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【動画あり】火星に古代生命が存在していた!? NAS…
  • 9
    悪夢の光景、よりによって...眠る赤ちゃんの体を這う…
  • 10
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中