最新記事

韓国社会

韓国クラスター発生の梨泰院、BTSメンバーら芸能人も 感染者追跡の陰で性的マイノリティへの差別も

2020年5月20日(水)21時15分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

梨泰院での新型コロナのクラスター発生は、感染拡大以上の問題を引き起こしている。Yonhap/via REUTERS

<規制緩和と同時にクラスターが発生したソウルの繁華街。だが問題は感染だけではなかった>

今Netflixで世界配信され、各国で人気を集めている韓国ドラマ『梨泰院クラス』。このドラマでソウルにある繁華街梨泰院の存在や雰囲気を初めて知った人もいただろう。

しかし、今や「梨泰院」というとクラブなどで新型コロナウイルスのクラスターが発生した繁華街、というイメージが付いてしまった。また現地韓国では梨泰院に遊びに行っていた芸能人への批判やセクシャルマイノリティへの差別問題にまで発展する事態となっている。

新型コロナの規制緩和と同時に大規模感染が発覚

大邱でのクラスター発生から一時は感染が爆発的に増加したものの、その後見事な抑え込みを成功させた韓国。今月6日には「緩和した社会的距離の確保」から「生活の中の距離確保」へと規制を緩めることとなった。

緩めたといっても、完全に終息したわけではないため、国のガイドラインでは、引き続き手洗いや、2m(少なくても1m)の間隔をあけ、消毒や換気を十分に行うことなどの注意が呼びかけられている。

しかし、今まで抑え込まれていた自粛ムードから解き放されたかのように、人々が街にあふれだした。再開した店では、距離確保どころかマスク着用すら守っていない客も多く、いつ新たな感染が発生してもおかしくない状態になっていた。

そして5月6日、「生活の中の距離確保」へ規制緩和された当日に、4月末からの連休中に梨泰院を訪れた20代会社員の感染が確認され、その導線にいた約2000人の濃厚接触者によるクラスター発生が明るみになってしまった。

このクラスターは、梨泰院を直接訪れた人だけでなく、そこで感染した人がさらに家族や友人などに感染を拡大させたことで、すでに197人以上の感染が確認され、4次感染まで広がりを見せている。

梨泰院という多国籍文化が集う若者に人気の街らしく、外国人感染者の発症や、塾の講師から10代学生への感染も拡大しており、不安がひろがっている。20日には仁川市が授業を再開した高校3年生に対して、1時間目の授業終了後、そのまま帰宅させる措置を市内66の高校に対して指示する事態になっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米「MSNBC」が「MS NOW」へ、コムキャスト

ビジネス

米8月住宅建設業者指数32に低下、22年12月以来

ワールド

ハマス、60日間の一時停戦案を承認 人質・囚人交換

ワールド

イスラエル、豪外交官のビザ取り消し パレスチナ国家
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する現実とMetaのルカンらが示す6つの原則【note限定公開記事】
  • 4
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 5
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 6
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 7
    アラスカ首脳会談は「国辱」、トランプはまたプーチ…
  • 8
    「これからはインドだ!」は本当か?日本企業が知っ…
  • 9
    恐怖体験...飛行機内で隣の客から「ハラスメント」を…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 7
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 8
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 9
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 10
    【クイズ】アメリカで最も「盗まれた車種」が判明...…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中