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プーチンを襲うコロナ経済危機 高まるロシア国民の不満

2020年4月29日(水)11時41分

ロシアでは、プーチン大統領の2036年までの続投を可能とする憲法改正案の是非を巡る全国投票が行われるはずだった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で延期になり、実施日程のめどはつかない。写真は19日、官邸でロシア正教のイースターのお祝いメッセージを述べるプーチン大統領。提供写真(2020年 ロイター/Sputnik/Kremlin)

ロシアでは22日、プーチン大統領の2036年までの続投を可能とする憲法改正案の是非を巡る全国投票が行われるはずだった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で延期になり、実施日程のめどはつかない。

5月に予定された第2次世界大戦戦勝75周年式典の軍事パレードも延期。旧ソ連国家保安委員会(KGB)の元将校だったプーチン氏が長年、自身のおかげでロシアが復活を遂げたと誇示するために利用してきた歴史顕彰のイベントだった。

プーチン氏はこれまで数々の危機を乗り越えており、政権転覆が差し迫っている兆候が出ているわけではない。しかし00年からロシアを支配してきた同氏の前には今、多くの問題が山積している。

ロシア経済の命綱である石油の価格は、過去約20年で最低の水準に落ち込んだ。ルーブルは現在、世界で最も下落している通貨の1つだ。ロシア最大手行の予想では、原油価格が1バレル=10ドルを割り込むと同国の国内総生産(GDP)は15%下押しされる恐れがある。

13年にロシアを離れたエコノミストのセルゲイ・ギュリエフ氏は「マクロ経済の崩壊にはならないだろうが、人々の暮らしが成り立たなくなるのは心配だ」と言う。

アレクセイ・クドリン元財務相は、失業者数が年内に3倍以上に増え、800万人に達すると予想した。

ノルデアのエコノミストによると、ロシアの石油・天然ガス収入は1650億ドル(約17兆7800億円)減少する可能性がある。政府はただでさえ大幅な赤字財政を穴埋めするため、金・外貨準備から多額を拠出する必要に駆られそうだ。

ロシア国立研究大学経済高等学院のセルゲイ・メドベージェフ教授は「あらゆる要素が相まって、プーチン氏は執政20年間で最大の試練に見舞われている」と言う。

「景色が一変した。安定が損なわれ、プーチン氏の権威はがた落ちとなり、(政界・財界の)エリート層は造反を画策しているかもしれない。今後1年間、政権は生き残りモードに入る」


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