最新記事

医療

インド、新型コロナウイルス抗体検査の一時中止を指示 中国製検査キットの正確性に懸念

2020年4月23日(木)11時49分

インドは、新型コロナウイルス感染拡大の状況把握のための抗体検査について、正確性に懸念があるとして、一時中止を指示した。保健当局者らが明らかにした。写真は4月22日、ムンバイで撮影(2020年 ロイター/Hemanshi Kamani )

インドは、新型コロナウイルス感染拡大の状況把握のための抗体検査について、正確性に懸念があるとして、一時中止を指示した。保健当局者らが明らかにした。

インドは、検査キットと医療機器の不足から、新型コロナの感染状況を把握するため他の多くの諸国に追随して標準的な簡易抗体検査を導入。今月初めに保健当局が血液による抗体検査を承認した後、中国に5億個超の検査キットを発注した。

しかし、医学研究評議会・感染学部門トップのR.R. Gangakhedkar博士は、抗体検査の結果に矛盾が生じているため、保健当局に検査の一時中止を求めたと明らかにした。

同博士は「これはわずか3カ月半の間に開発された第1世代の検査であり、改良していく必要がある。(結果の)変動幅は無視できない」と述べた。

保健当局は、機器の精度確認のため、各州に当局の衛生専門家を派遣しているという。

スペインを含む欧州諸国からも、中国が供給したキットの品質について苦情が出ている。

デリーの中国大使館広報担当者は、検査に関する報道を見たとし、支援のためインド当局と連絡を取っていると説明。ツイッターに「中国は、輸出した医療機器の品質を大変重要視している」と投稿した。

インド政府の統計によると、新型コロナ感染者数は1日に約1000人増加し、累計では1万9983人、死者は640人となっている。

死者数は他の多くの国と比較して依然少ないが、当局者らは、5月3日に約6週間にわたったロックダウン(封鎖)が解除されれば、感染が増加する可能性があるとしている。

[ニューデリー ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・「新型コロナウイルス第2波、今冬に米国を襲う より大きな影響も」米CDC局長
・金正恩重体説に飛びつく期待と幻想
・米ジョージア州が「ロックダウン破り」、濃厚接触でも営業再開を待ちきれず
・日本がコロナ死亡者を過小申告している可能性はあるのか?


20200428issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月28日号(4月21日発売)は「日本に迫る医療崩壊」特集。コロナ禍の欧州で起きた医療システムの崩壊を、感染者数の急増する日本が避ける方法は? ほか「ポスト・コロナの世界経済はこうなる」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インタビュー:26年春闘、昨年より下向きで臨む選択

ビジネス

3メガ銀の通期最高益へ、貸出増と金利上昇が追い風 

ワールド

中国習主席、タイ国王と会談 信頼できる隣国を強調

ワールド

ハマス、ガザで支配体制再構築 停戦発効から約1カ月
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 5
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 6
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 7
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 10
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中