最新記事

欧州政治

難民危機で台頭しウイルス危機に敗れたドイツ極右

Coronavirus Has Paralyzed Europe’s Far Right

2020年4月15日(水)17時55分
エミリー・シュルタイス

ヒリエはAfDのソーシャルメディアに関する統計値をコロナウイルス大流行が始まる前の3週間と、始まった後の3週間で比較し、AfDの投稿に対する反応が通常の半分に減っていることを発見した。さらに、ウイルス危機自体に関するAfDの投稿には、支持者からの「いいね」やシェア、コメントが少ないことわかった。

一方、メルケル首相の着実で実際的な存在感は、ドイツ人が今まさに求めているもののようだ。ドイツの放送局ZDFが発表した調査では、回答者の80%がメルケルの危機への対応を支持し、さらに88%がこの間の政府の活動を支持した。

その結果、メルケル首相の与党CDUは、全国世論調査で確実な地歩を回復したが、AfDへの支持は10%を割り込んだ。

だがこうした極右勢力は、一時的に人気を失っても、ウイルスの脅威が後退すれば再び勢力を盛り返すだろう。人々の関心が、ウイルスがもたらした経済的な破壊に向くようになれば、極右は、より貧しく被害が大きい国々に対するEU支援をどうするか、という難しい問題に飛びつくだろう。

イタリアの極右政党「同盟」のマッテオ・サルビーニ党首の狙いはまさにそこだ。イタリアで感染爆発と医療崩壊が起きた当初、欧州の隣人たちからは支援も連帯もなかったと主張する。これに対してドイツなど裕福な欧州北部の国々では、ユーロ危機の時と同じ不満が吹き出すに違いない。なぜ南欧諸国に支援をしなければならないのか、と。2013年にAfDが生まれたのも、こうした反ユーロ感情が渦巻いている時だった。

「今はAfDに出番はないが、2カ月もすればまた出てくるだろう」と、キール大学安全保障研究所の政治学者、マルセル・ディルサスは言う。「ドイツが他の欧州諸国を支援する時、彼らは難癖をつけて利用するために待ち構えているはずだ」

From Foreign Policy Magazine

20200421issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国こそが「真の脅威」、台湾が中国外相のミュンヘン

ワールド

米中「デカップリング論」に警鐘、中国外相がミュンヘ

ビジネス

ウォルマート決算や経済指標に注目、「AIの負の影響

ワールド

ドバイ港湾DPワールドのトップ辞任、「エプスタイン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 2
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 3
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活動する動画に世界中のネット民から賞賛の声
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    それで街を歩いて大丈夫? 米モデル、「目のやり場に…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 8
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 9
    【インタビュー】「4回転の神」イリヤ・マリニンが語…
  • 10
    機内の通路を這い回る男性客...閉ざされた空間での「…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 10
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中