最新記事

環境問題

コロナ後の地球をまた大気汚染まみれに戻していいのか

Citing Pollution Decrease, Scientists Call for Permanent Changes Post-COVID

2020年4月13日(月)19時29分
ベンジャミン・フィアナウ

地球温暖化について警鐘を鳴らしたドキュメンタリー映画『不都合な真実』で知られるアル・ゴア元米副大統領も10日、HBOの番組に出演し、コロナ問題と地球温暖化問題の間には明確な共通点があると述べた。どちらも、科学者の言葉に耳を貸さない政府トップに対する警告だというのだ。

映画監督のスパイク・リーは別のテレビ番組で、フランシスコ教皇と同様の考えを示すとともに、ロックダウンは「すべてを変えている」と述べた。

「理由は分かるはずだ。汚染された大気がとてもきれいになっているからだ。空は前より澄んでいて、動物たちも外に出てきている。つまり、地球はわれわれ人類に対し怒っていたということだ。私のことをいかれたやつだと思う人もいるかも知れないが、私は心底そう信じている。人類はやり過ぎた。そして地球から『それ以上動くな。このままじゃだめだ』と言われたわけだ。人類はこの星を殺しかけていたんだ」とリーは述べた。

インドのシンクタンク、科学環境センターの所長でニューデリーの自動車公害を批判してきたスニタ・ナラインは、運輸や交通のあり方を「恒久的に」変える必要があると言う。「『環境保護派はロックダウンを歓迎している』などとは言われたくない。それは事実でもない。ロックダウンが解決策とは思わない。だがコロナ後にも今と同じ新鮮な空気を吸えるようにしなければならないし、デリーの大気汚染対策として必要な努力について真剣に考えなければならない」とナラインは言う。

マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツは3月下旬のTEDトークで、世界の科学界や民間企業が力を合わせて気候変動の問題とコロナウイルス問題の両方を解決することへの期待を表明している。「技術革新と科学と世界が力を合わせることの意義は、これら2つの問題のどちらにも当てはまる。科学の側面とデータ共有という側面において、偉大なる協力が進んでいくさまをみんなが目の当たりにすることだろう」

(翻訳:村井裕美)

20200421issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

高市首相、中国首相と会話の機会なし G20サミット

ワールド

米の和平案、ウィットコフ氏とクシュナー氏がロ特使と

ワールド

米長官らスイス到着、ウクライナ和平案協議へ 欧州も

ワールド

台湾巡る日本の発言は衝撃的、一線を越えた=中国外相
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナゾ仕様」...「ここじゃできない!」
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 5
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    【銘柄】いま注目のフィンテック企業、ソーファイ・…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中