最新記事

2020米大統領選

米大統領選、民主候補争いでバイデンが重要州制す 今後はトランプとの直接対決に照準

2020年3月21日(土)09時14分

米大統領選に向けた民主党候補指名争いでは、左派のサンダース上院議員が撤退の瀬戸際に追い込まれる中、中道派のバイデン前副大統領が大統領選の鍵を握る重要州で勝利した。写真は12日、デラウェア州ウィルミントンでスピーチするバイデン氏(2020年 ロイター/Carlos Barria)

11月3日の米大統領選に向けた民主党候補指名争いでは、左派のサンダース上院議員が撤退の瀬戸際に追い込まれる中、中道派のバイデン前副大統領が大統領選の鍵を握る重要州で勝利した。この勢いに支えられてバイデン氏は、トランプ大統領との対決に照準を合わせることができるようになった。

バイデン氏は17日に実施されたフロリダ、アリゾナ両州を含む3州の予備選でサンダース氏に圧勝。両州は有権者が共和党、民主党のいずれにも揺れ動き得る激戦州として知られ、大統領を選ぶ上で鍵を握る。

新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大しているにもかかわらず、両州の投票は出足が好調で、多数の有権者が早めに投票を済ませた。民主党支持者の間ではトランプ氏打倒の熱意は依然として強いことがうかがえる。

エジソン・リサーチの調査では、女性やアフリカ系米国人、地方の白人を含む幅広い有権者層がバイデン氏の指名を確実にした。同じく大統領選の結果を左右するミシガン州の予備選をバイデン氏が先週に制した際にも、同様の調査結果が示されていた。

おそらく最も意味深いことは、2018年の中間選挙で民主党が米下院の多数派を奪回するのを支えた郊外の穏健派有権者層でバイデン氏の支持が広がったように見えることだ。

バージニア大学政治センターのアナリスト、カイル・コンディク氏は「高所得、高学歴の層が多い郊外地区で投票率が大きく上昇した。この地区はまさに、共和党の支持が2016年以降は低下し、かつて共和党を支持していた有権者の少なくとも一部は、民主党に投票することに従来よりも心を広く開いているように見受けられる」と述べた。

コンディク氏は、予備選の結果は大統領選を占う上で必ずしも信頼できる指標になるとは限らないと警告する一方、バイデン氏の成功はトランプ氏との対決で良い前兆になり得るとの見方を示した。

民主党は2016年以降、アリゾナ、フロリダ、ミシガンの3州を最も重要な州と位置付けてきた。16年の大統領選ではトランプ氏がこれら3州で勝利した一方、12年は再選を目指したオバマ氏が3州をすべて制した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

住友商、マダガスカルのニッケル事業で減損約890億

ビジネス

住友商、発行済み株式の1.6%・500億円上限に自

ビジネス

英スタンチャート、第1四半期は5.5%増益 金利上

ビジネス

クレディ・スイス、韓国での空売りで3600万ドル制
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中