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一斉休校で大打撃を受けた、地域の医療・福祉サービス

2020年3月18日(水)11時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

実数では121万人だが、これは医療・福祉従事者の17.2%に相当する。この数値を都道府県別に計算し、高い順に並べると<表2>のようになる。

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左上の上位の県では、医療・福祉従事者の5人に1人が、核家族世帯の30~44歳の母親であることが分かる。

一斉休校で自宅に縛られる可能性が高い人たちだが、県内の医療・福祉従事者の5人に1人がごっそりいなくなったら一大事だ。県内の医療が崩壊し、患者の看護が行き届かなくなる恐れもある。上記の表は、この恐れを数値化したものとも読める。

高度化した社会では、あらゆる部分(セクター)がつながっており、全国津々浦々にある学校は、その中で大きな位置を占めている。子どもに良かれと思ってしたことが、社会に思わぬ副作用をもたらすことがある。政策の決定は慎重に下されなければならない。

社会の「学校依存」の体質も見直されるべきだ。学校は子どもの教育を担う専門機関だが、日本の学校はそれ以外の多くの機能(養育、保護、看護......)を担わされている。一斉休校による混乱は、そうした偏りの表れに他ならない。前回の記事で「コロナは社会変革を促す黒船」と書いたが、学校のスリム化を図り、社会全体で子どもを育てる環境を構築する良い機会でもある。

<資料:総務省『国勢調査』(2015年)>

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