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韓国シム・ウンギョン、日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞 日本映画の新人は芸歴17年の「カメレオン」女優

2020年3月14日(土)18時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

日本での活動に向け3年前から日本語を勉強

そんな彼女が、なぜ日本映画に出演したのか? 日本で活動する際のマネージメント事務所と2017年に契約した際、彼女は日本メディアのインタビューに答えて「中学1年生のときに是枝裕和、岩井俊二の作品を観て日本の映画に魅了された。日本の映画や小説など日本文化に関心があってずっと挑戦してみたかった」と語っていた。

実際、演技もさることながら、彼女の日本語の実力にも注目が集まっている。演技中のセリフだけでなく、日本アカデミー賞での受賞コメントや舞台挨拶檀上での流ちょうな日本語を見るとかなり準備をしてきたように見える。

あるインタビューでは、これまで約3年間日本語の勉強を続け、『新聞記者』出演が決まると、役柄上せりふに専門用語が多く、慣れるために東京新聞社に2カ月間見学に通ったと語っている。劇中、彼女の演じる吉岡が猫のように腰を曲げる演技は、原案者である望月衣塑子が記事を書くときの姿を見て同じように演技したそうだ。

韓国の報道によると、シム・ウンギョンは今後2作品の日本映画に出演が決定しているという。今後の両国での活躍に期待したい。

「日韓の架け橋」など気にせずに!

ここ最近の日韓関係といえば、思い出されるのは、3月5日に日本政府が韓国からの入国制限を発表し、さらに翌日には韓国側が対抗処置として同じく入国制限を発表したニュースだ。一昨年の韓国大法院による徴用工判決が出てから、「日韓関係は過去一番冷え切った」と言われてきたが、今回の入国制限のような報道を耳にするたび、ついに凍り付いてしまうのではないかと思わずにいられない。

そんななかでも、映画という光は今も両国を照らしている。筆者はシム・ウンギョンさんに「日韓の懸け橋になってほしい」などとは思ってはいないし、周りもそのようなプレッシャーは掛けないでほしい。

ただ、お互いの国で素晴らしい監督やシナリオに出合ったとき、両国の役者が出たいと思えば自由に出演しあえる、国境をも超えた映画人としての関係を持続していってくれればそれだけでよいのだ。

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