最新記事

新型コロナウイルス

中国、新型コロナウイルス新たな感染者減少 専門家は慎重姿勢崩さず

2020年2月18日(火)12時30分

専門家はなお慎重

中国の当局者は、新たな感染者の発生が落ち着いていることについて、感染阻止に向けた措置が効果を上げているサインだとみている。

中国本土での新たな感染者数は1月30日以降、2000人を割ったことがなかった。また、1日当たりの死者数も2月11日以降、100人を割り込んでいなかった。

中国以外では、26カ国・地域で827人の感染者、5人の死者が確認されている。

一方、ロンドン・スクール・オブ・ハイジーン・アンド・トロピカル・メディスンで国際公衆衛生を専門とするジミー・ウイットウォース教授は、新型コロナウイルスはなお急速に拡大する力を持っているとし、世界の保健当局は警戒を続けるべきとの見方を示している。

教授は「中国での新たな感染事例の減少が、湖北省での感染ピークを示すものであると考えることは可能だが、そう確信するには時期尚早」と指摘。「他国の保健当局は引き続き警戒姿勢を維持し、すべての感染者を特定して感染拡大を阻止することが肝要だ」と主張した。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長も17日、中国からの最新のデータによると、新型コロナウイルス(COVID─19)の新たな感染者の伸びは鈍化しているものの、今後の展開については「依然としてあらゆるシナリオが考えられる」と述べた。記者団に対して「トレンドの見極めには極めて慎重になる必要がある」とし、この減少傾向が続くとみるには時期尚早と語った。

ダイヤモンド・プリンセス

横浜港に検疫のため停泊し、新型ウイルスの集団感染が発生しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から退避した300人超の米国人は、派遣されたチャーター機2機でテキサス州とカリフォルニア州の米軍基地に到着した。到着後は全員が2週間にわたり隔離されるという。

退避者のうち14人は直前の検査で陽性反応が出たが、搭乗が許可された。米国務省によると、陽性患者は機内で隔離されたが、それまで約40分間にわたり他の乗客と同じ場所にいたという。このため、60人について健康観察を行うとしている。

同船では約400人に陽性反応が出ており、中国外で確認された感染者の約半数を占める。米国に続いて他の複数の国も自国民を退避させる計画を発表している。乗客乗員約3700人の約半数は日本人。

英国も、乗船している自国民の退避措置に乗り出した。英外務省は声明で「必要な手続きを進めるため、乗船している英国民と連絡を取っている」と表明した。

一方、日本などで入港を拒否され、カンボジアに13日に到着したクルーズ船「ウエステルダム」では、下船後にマレーシアに移動した乗客の米国人から新型コロナウイルスの陽性反応が出た。マレーシア当局が発表した。

[北京 18日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200218issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月18日号(2月12日発売)は「新型肺炎:どこまで広がるのか」特集。「起きるべくして起きた」被害拡大を防ぐための「処方箋」は? 悲劇を繰り返す中国共産党、厳戒態勢下にある北京の現状、漢方・ワクチンという「対策」......総力レポート。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日鉄によるUSスチールの買収完了、米政府が黄金株保

ワールド

イラン、トランプ氏の降伏要求に反発 中東紛争の出口

ワールド

日産2車種「追加調査の必要性なし」 米NHTSA、

ワールド

中国外相、イスラエルによるイラン攻撃「国際法違反」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 2
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火...世界遺産の火山がもたらした被害は?
  • 3
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 4
    【クイズ】「熱中症」は英語で何という?
  • 5
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 6
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 7
    下品すぎる...法廷に現れた「胸元に視線集中」の過激…
  • 8
    電光石火でイラン上空の制空権を奪取! 装備と戦略…
  • 9
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 10
    「音大卒では食べていけない」?......ただし、趣味…
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未…
  • 6
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 7
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 8
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 9
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 10
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 5
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 6
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 7
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中