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タイ銃乱射殺人事件、犯人射殺で終わらなかった 元兵士や警官が模倣犯行予告

2020年2月11日(火)19時20分
大塚智彦(PanAsiaNews)

悪質な模倣犯、愉快犯が続出

タイではあまり前例のない銃乱射による無差別大量殺人事件は、敬虔な仏教徒の多いタイ社会に大きな衝撃を与えるとともに、今回の事件に便乗して同様の事件をネットで予告するような模倣犯、愉快犯が続出しており、警察は取り締まりを強化、実際に逮捕者も出る事態となっている。

容疑者が射殺されて事件が収束したのが9日の午前9時ごろとされているが、同日の夜には早くもFacebookに拳銃のようなものを手にした写真とともに「(今回の事件は)コラートのターミナル21(ショッピングセンターの名前)で起きた。私はチャイヤプムのロビンソンだ」として隣接するチャイヤプム県の「ロビンソン百貨店」の襲撃を予告する書き込みが投稿された。ネットユーザーからの通報を受けた地元警察が容疑者確保に動きだしたところ、これを察知した容疑者自身が警察に出頭し逮捕された。

その後の調べでこの容疑者は27歳の元兵士と判明、「ガールフレンドと口論して気分を害し飲酒してつい書き込んでしまった」と供述、罪を全面的に求めているという。

また東北部ロイエット県では地元の量販店を襲撃するという犯行予告をネットに書きこんでいた16歳の少年が「コンピューター犯罪法」などの容疑で逮捕される事件も起きている。一方、東部チョンブリ県パタヤでは地元ショッピングセンターを襲撃すると予告した23歳の男の行方を警察が追っている。この男の母親によると男は徴兵されて軍務に就いていたが現在は脱走して行方不明という。

さらに南部ラノーン県ではFacebookに地元市場を襲撃すると銃を手にした写真を掲載して予告した36歳の男が逮捕されている。この男は自称警察官だが麻薬関連の犯罪で逮捕歴があり最近服役を終えて刑務所から出所したばかりで、写真で手にしていた銃は偽物だったということなどが地元メディアで報じられた。

こうした模倣犯、愉快犯の続出に警察も頭を抱えているが、実際に乱射事件が起きた直後だけに「いらずらだろう」と看過する訳にもいかず、各地で逮捕者が続出する事態となっている。

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