最新記事

韓国

韓国政府の新型コロナウイルス対策に批判 隔離施設への反対運動も

2020年2月3日(月)19時00分
佐々木和義

武漢からの帰国者の隔離施設地域では反対運動で暴動に

いっぽう、武漢からの帰国者や中国人も災難に見舞われている。チャーター機の派遣を決定したとき、外交部は「感染が疑われる者は搭乗できない」と発表し、福祉部も「無症状者を移送する」と発表した。そして、保健福祉部が「感染が疑われる人を韓国に移送する」と発表すると、外交部と福祉部は有症状者の移送は協議中と言葉を濁した。チャーター便の帰国者は無症状者に限られた。

帰国後の対応も二転三転する。帰国後の2週間、忠清南道天安(チョナン)に隔離する計画だったが、地元住民の反発を受けると忠清南道牙山(アサン)と忠清北道鎮川(ジンチョン)の公務員研修施設に隔離場所を変更した。天安は市長の補欠選挙を控え、また4月の総選挙で3つの選挙区を擁する地域である。

新たに指定された牙山と鎮川では、受け入れに反対する住民がトラクターや貨物車で道路を封鎖し、視察に訪れた保健福祉部の金剛立(キム・ガンリプ)次官の髪をつかみ、水差しや紙コップを投げつけるなど暴動騒ぎとなっている。

日本製品を使わない「ノージャパン」運動が、中国人を拒絶する「ノーチャイナ」に置きかわり、中国人の乗車を拒否するタクシーや出入りを禁じる飲食店が現れた。バイク便のライダーは中国人密集地域への配達を拒絶し、あるいは「危険手当」を提示した。

後手に回る文在寅政権を批判

昨年は、日本を批判し「ノー・アベ」を掲げることが多い韓国だが、チャーター機の派遣や緊急支援といった安倍政権の素早い対応を賞賛する一方、後手に回る文在寅政権を批判する声が上がっている。

旧正月連休明けの1月28日、文在寅大統領は新型コロナウイルス感染者の治療にあたるソウルの国立中央医療院を訪れ、総力を挙げて対応に当たる姿勢を強調したが、大統領の訪問は動線や警護など病院の負担が増えるだけだったと批判された。

MERSコロナウイルスが拡散した2015年、後手に回った政府の対応が批判を浴びると当時の朴槿恵大統領は医療機関を訪問して全力で取り組む姿勢をアピールしたが、ポーズに過ぎないという声が広がり支持率は急落した。その政府の対応を批判した一人が、野党新政治民主連合の代表だった文在寅現大統領である。近年、政府の危機管理は韓国の人々にとっても大きな不安材料となっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベトナム、原油確保で日韓に協力要請 中東情勢で供給

ワールド

北朝鮮、最高人民会議代議員選挙を実施

ワールド

トランプ氏、ホルムズ護衛参加要請 日豪は現時点で派

ワールド

アングル:イラン戦争で空の便大混乱、「夢の休暇」一
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目のやり場に困る」衣装...「これはオシャレなの?」
  • 3
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングアップは「2セット」でいいのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 6
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 7
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 8
    ぜんぜん身体を隠せてない! 米セレブ、「細いロープ…
  • 9
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 10
    50代から急増!? 「老け込む人」に共通する体の異変【…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中