最新記事

日本政治

通常国会開幕、IRめぐる政界工作や桜などで波乱の展開も

2020年1月20日(月)14時09分

1月20日、第201回通常国会が20日開会した。審議予定の法案数は現時点で52本と過去最低水準に絞り込まれている。写真は国会議事堂。2009年7月都内で撮影(2020年 ロイター)

第201回通常国会が20日開会した。審議予定の法案数は現時点で52本と過去最低水準に絞り込まれている。財政の持続性確保のための全世代型社会保障改革が目玉だが、安倍晋三首相主催の「桜を見る会」、河井案里参院議員の公職選挙法違反疑惑やIR疑惑と、野党側の追及材料には事欠かない状態だ。直後に東京都議選や東京五輪・パラリンピックを控えており、6月17日までの会期の延長は難しいとみられている。

通常国会冒頭では、法案審議に先立ち2019年度補正予算案と20年度予算案が提出される。衆参両院の各党代表質問を経て、1月最終週に補正予算案の予算委員会審議に入る予定だ。

政府が提出する法案は中小企業のパート労働者の厚生年金加入を義務付けるなどの国民年金法などの改正案、70歳まで就業できる雇用安定法などの改正案、巨大ネット通販企業に取引条件の開示を求めるデジタル・プラットフォーマー取引透明化法案など。法案数が過去最少となるのは7月5日投開票の東京都知事選や7月24日からの東京五輪・パラリンピックを控えているため。

また昨年の臨時国会まで5国会連続で継続審議となっている憲法改正の手続きを定めた国民投票法改正案の成否も注目される。

今国会は野党側の追及材料も多い。河井克行前法相の妻案里氏の陣営が昨年7月の参院選広島選挙区で、法定上限の2倍の報酬を車上運動員に渡したとされる疑惑で、広島地検が案里氏の公設秘書から任意で事情聴取しており、野党側は首相の任命責任を追及する見通し。同じく公職選挙法違反の疑いで経済産業相を辞任した菅原一秀衆院議員も、自らの疑惑についてきちんとした説明をしていない。

カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる事件では、東京地検特捜部が14日に秋元司衆院議員を再逮捕。中国企業500ドットコムの政界工作に対する捜査動向が国会で材料視される公算が大きい。

桜を見る会問題では、招待者名簿の取り扱いで公文書管理法違反があったことを認めた菅義偉官房長官について、野党は合同で辞任を求める意向だ。

問題山積のなか、一部永田町関係者で取りざたされるのが早期の衆院解散だ。二階俊博幹事長は「直ちに解散をしなければいけない必然の課題があれば別だが、そうでなければ、わざわざ五輪の前に大騒ぎをする必要はないのではないか」などと発言しており、五輪開催前の解散は難しいというのが与党内の主流意見だ。

もっとも、すでに現職議員が逮捕される事態となっており、野党側の追及次第で「首相が破れかぶれ解散に踏み切ることがないとは言えない」(与党幹部)との見方もくすぶる。

現在の衆院議員の任期は2021年10月。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米はテック規制見直し要求、EUは鉄鋼関税引き下げ 

ビジネス

ウォラーFRB理事、12月利下げを支持 1月は「デ

ワールド

トランプ氏、オバマケア補助金の2年間延長を検討=報

ワールド

元FBI長官とNY司法長官起訴、米地裁が無効と判断
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 10
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中