最新記事

日本社会

伊藤詩織氏の性暴力被害に東京地裁が賠償命令 元TBS記者は控訴へ

2019年12月18日(水)17時15分

意識を失った状態で性行為を強要され、肉体的・精神的苦痛を被ったとして、ジャーナリストの伊藤詩織氏が元TBS記者の山口敬之氏に慰謝料など1100万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は18日、山口氏に330万円の支払いを命じる判決を下した。写真は東京地裁で1月撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

意識を失った状態で性行為を強要され、肉体的・精神的苦痛を被ったとして、ジャーナリストの伊藤詩織氏が元TBS記者の山口敬之氏に慰謝料など1100万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は18日、山口氏に330万円の支払いを命じる判決を下した。

山口氏が、伊藤氏の発言で信用を失われたとして慰謝料を求めた訴訟では山口氏の請求を棄却した。

山口氏は記者会見で、控訴することを明らかにした。

判決では、伊藤氏が「虚偽の申告をする動機は見当たらない」とした。また性行為を強要され暴力によって恐怖を感じ、「フラッシュバックやパニックが生じる状態が継続している」ことで肉体的・精神的苦痛を被ったとした。

一方、山口氏の供述について「核心部分について不合理に変遷し、信用性に重大な懸念がある」と指摘。伊藤氏が経緯を明らかにしたのは、性犯罪被害者の状況改善につながると考え公益を図る目的であり、公表した事実は真実と認められることから名誉棄損にならない、とした。

伊藤氏は裁判所前で支援者やメディアに「これでなかったことになるわけではない。これが終わりではない」と述べた。

伊藤氏は、2015年に就職について相談するため山口氏と飲食した際、意識を失って性行為を強要されたとして、準強姦容疑で警視庁に被害届を提出、2016年7月に山口氏は嫌疑不十分で不起訴となった。

不起訴を受け、伊藤氏は検察審査会に不服申し立てをしたが、検察審査会は「不起訴相当」と判断した。

その後、伊藤氏は東京地裁に民事訴訟を起こした。一方、山口氏は合意があったと反論、2019年2月、伊藤氏の発言などで社会的信用を奪われたとして慰謝料や謝罪広告の掲載を求めて反訴し、これらの訴訟は併合して審理された。

*内容を追加しました。

(竹中清、宮崎亜巳 編集:内田慎一)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191224issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月24日号(12月17日発売)は「首脳の成績表」特集。「ガキ大将」トランプは落第? 安倍外交の得点は? プーチン、文在寅、ボリス・ジョンソン、習近平は?――世界の首脳を査定し、その能力と資質から国際情勢を読み解く特集です。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、トランプ氏発言で危険にさら

ビジネス

テスラ、米生産で中国製部品の排除をサプライヤーに要

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 10
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中