最新記事

ブレグジット

英総選挙で圧勝したジョンソン首相 それでもブレグジットは前途多難

2019年12月21日(土)14時15分

EUが望む「ゼロ・ダンピング」

EUは、公正な競争を保証する確固とした条項が盛り込まれない限り、経済大国である英国との貿易協定は結ばないと強調している。

EUの要求は環境・労働基準に重点が置かれている。また、英国がEU単一市場において不公正な低価格で商品を販売できないよう、国の補助金を巡る規則も重視している。

ジョンソン首相が貿易協定について主張する「ゼロ関税、ゼロ割り当て」に加え、EU側は「ゼロ・ダンピング」の保証も求めている。

EU高官は「英国がカジノとシンガポールの中間のような姿になるなら、われわれは競争環境公平化の問題を厳しく追求する」と話す。

英国にとっての難題は、米国と2国間貿易協定を結ぶために農業・食品基準を緩和するよう迫られていることだ。これはEUにとって越えてはならない一線であり、域内の生産者を守るために市場アクセスを制限するだろう。

漁業と安全保障

EU諸国は従来のように英国の海域内で漁業ができなくなるため、漁業は特にやっかいな問題だ。

英国とEUは、EUがノルウェーと結んでいるような漁獲割り当てについて交渉するとみられる。しかし、高官らによると、交渉は長引き、場合によっては激しい論争となりそうだ。

自動車や医薬品などEUの産業サプライチェーンは多くの国境をまたいでいるため、生産地をどこに指定し、規制や税をどう適用するかという問題も難航しそうだ。

安全保障を巡っては、EUと英国は犯罪に関する機密情報を共有するとしているが、EUが過去に第三国と行ったこうした交渉は複雑で、長期化している。

英保守党が選挙で過半数を大幅に超える議席を制したことで、党内の強硬離脱派の影響力が弱まったのであれば、ジョンソン首相はEUとの緊密な協調に傾くかもしれない、とEU外交官らはみている。

フランスのマクロン大統領は、13日の記者会見で「ジョンソン氏が非常に野心的な貿易協定を望むなら、われわれは非常に野心的な規制の収れんが必要になる。ご遠慮なくどうぞ」と述べ、そうした展開に期待を寄せた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191224issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月24日号(12月17日発売)は「首脳の成績表」特集。「ガキ大将」トランプは落第? 安倍外交の得点は? プーチン、文在寅、ボリス・ジョンソン、習近平は?――世界の首脳を査定し、その能力と資質から国際情勢を読み解く特集です。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアがイースター停戦表明、11─12日 ウクライ

ビジネス

高級EVのポールスター、1ー3月中古車販売が新車超

ワールド

米共和、トランプ氏の戦争権限制限する動き阻止 民主

ワールド

米ホワイトハウス、職員の先物取引巡り警告 イラン戦
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡散──深まる謎
  • 4
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 5
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 6
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 7
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 8
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 9
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 10
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中