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救急車を呼んでも来ない──医療崩壊の実態とそれを推進する「働き方改革」

2019年12月19日(木)17時05分
印南敦史(作家、書評家)


「現場の医師からは、以前より二〇〜三〇%、救急患者を受け入れられなくなったと聞いています。そうなると近隣の病院が対応せざるを得ない。すべての病院が働き方改革に合わせて医師の勤務時間を減らせば、救急車難民が出るでしょう」(41ページより)

現状のままだと、現場がさらに疲弊することは目に見えている。そしてそれは、医療の安全を損なうことにもなりかねないだろう。しかも、働き方改革で医師の勤務時間を減らしたとしたら、必然的に人手が足りなくなり、救急車の行き先がなくなる。そして行き先のない救急車は、次の患者のもとへ向かうことができなくなる。

本来、救急医療は特定の医療機関の一診療科ではなく、地域社会全体のインフラ、もしものときのセーフティネットだ。それが崩壊に向かうのか、それとも再生していけるのか、日本は今まさに分岐点に立っていると著者は指摘する。

確かにその通りだ。病気や怪我で倒れる可能性は誰にでもあるだけに、救急車に来てもらえ、医師に診てもらえる社会が続いてほしいと切に願う。


救急車が来なくなる日――医療崩壊と再生への道
 笹井恵里子 著
 NHK出版新書

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

[筆者]
印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は他に「ライフハッカー[日本版]」「東洋経済オンライン」「WEBRONZA」「サライ.jp」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」などにも寄稿。『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)をはじめ、ベストセラーとなった『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)など著作多数。

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