最新記事

香港

米議会、上院も「香港人権・民主主義法案」可決 中国は反発

2019年11月20日(水)11時31分

米上院は中国が香港に高度の自治を保障する「一国二制度」を守っているかどうか米政府に毎年検証を求める「香港人権・民主主義法案」を全会一致で可決した。写真は香港理工大学に立てこもるデモ隊に対する賛同の意を表すため、スマートフォンを掲げる人々。11月19日撮影(2019年 ロイター/Athit Perawongmetha)

米上院は19日、中国が香港に高度の自治を保障する「一国二制度」を守っているかどうか米政府に毎年検証を求める「香港人権・民主主義法案」を全会一致で可決した。

下院では既に可決されており、今後上下両院の調整を経た上で、トランプ大統領に送付される。

上院はまた、香港警察に催涙ガスや催涙スプレー、ゴム弾、スタンガンなど特定の軍用品を輸出することを禁じる法案も全会一致で可決した。

ホワイトハウスはトランプ大統領が香港人権法案に署名する意向かどうかをまだ明らかにしていない。ある米政府当局者は最近、決定はまだ下されていないと述べたほか、トランプ氏側近には対中通商交渉への悪影響を懸念する向きと、人権や香港問題を巡り中国に明確な態度を示すべきと主張する向きがあるため、激しい議論が交わされるだろうと予想した。

共和党のルビオ上院議員は「香港の人々は何が待ち構えているかを分かっている。自治権と自由を損なおうとする着実な動きがあることを理解している」と述べた。

法案は、香港への優遇措置継続の是非を判断するため、一国二制度に基づく高度な自治を維持しているかどうか、米国務長官に毎年検証することを義務付ける内容となっている。

民主党のシューマー上院院内総務は「習近平国家主席に対してわれわれはメッセージを送った。あなたの自由を弾圧する行為は、香港であれ、中国北西部であれ、どこであれ容認されない。自由を妨害し、香港の人々、若者や年配者、抗議を行っている人々に対してこんなに残虐な行為を行えば、あなたは偉大な指導者ではなく、中国も偉大な国にはなれない」と強調した。

中国は反発

中国外務省は20日、同法案の上院可決を非難し、国家の主権と安全保障を守るために必要な措置を取ると表明した。

外務省は声明で、米政府は香港と中国の問題への介入をやめ、香港関連法案の成立を阻止する必要があると主張した。

外務省報道官は声明で「事実と真実を無視している。ダブルスタンダードが適用されており、香港情勢をはじめとする中国の内政に露骨に干渉している」と表明。

「国際法と国際関係に関する基本的な規範に深刻に違反している。中国は非難し、断固として反対する」と述べた。

米国が香港情勢など中国の内政への介入を直ちに中止しなければ「悪い結果が跳ね返ってくるだろう」とも述べた。

ポンペオ米国務長官は18日、米政府は香港情勢を深く懸念しているとし、香港当局に対し市民の懸念に対応するための明確な措置を打ち出すよう呼び掛けた。

*内容を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191126issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

11月26日号(11月19日発売)は「プラスチック・クライシス」特集。プラスチックごみは海に流出し、魚や海鳥を傷つけ、最後に人類自身と経済を蝕む。「冤罪説」を唱えるプラ業界、先進諸国のごみを拒否する東南アジア......。今すぐ私たちがすべきこととは。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米「夏のブラックフライデー」、オンライン売上高が3

ワールド

オーストラリア、いかなる紛争にも事前に軍派遣の約束

ワールド

イラン外相、IAEAとの協力に前向き 査察には慎重

ワールド

金総書記がロシア外相と会談、ウクライナ紛争巡り全面
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 3
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打って出たときの顛末
  • 4
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 5
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    主人公の女性サムライをKōki,が熱演!ハリウッド映画…
  • 8
    【クイズ】未踏峰(誰も登ったことがない山)の中で…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 7
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中