最新記事

サッカー

W杯アジア2次予選の北朝鮮vs韓国「無事に帰れたのは奇跡」と韓国主将

South Korean Soccer Players Describe 'Bizarre' Matchup Against North Korea

2019年10月18日(金)13時40分
マシュー・インペッリ

平壌で行われた歴史的なサッカー南北対決はまるで「戦争のようだった」The Guradian/YouTube

<中継なしの無観客というだけでなく、北朝鮮側はラフプレーの連続で、何度も怪我をさせられると思ったという>

10月15日に北朝鮮の首都・平壌で行われたサッカーの2022年カタールW杯アジア2次予選の北朝鮮と韓国の試合は、きわめて異様なものになった。金日成競技場で行われた歴史的な南北対決は、前代未聞のライブ中継なしの無観客試合。メディアによる取材もシャットアウトされた。

<参考記事>【対韓国・北朝鮮】日本は「核保有した統一朝鮮」を利用せよ

この異例の措置に疑問の声が上がるなか、韓国代表チームの複数のメンバーが17日、0-0のスコアレスドローに終わった同試合についてメディアに語った。

「北朝鮮の選手たちはラフプレーが多かった。暴言の応酬もあった」と韓国代表のソン・フンミン主将は語った。「勝てなかったのはとても残念だが、試合はとても攻撃的で、怪我なく無事に帰国できただけでも快挙だと思う」


韓国代表のチェ・ヨンイル団長は、北朝鮮代表のプレーはまるで「戦争のようだった」と評した。チェはさらに、北朝鮮の選手たちが肘突きをしてきたと説明し、「あんなに攻撃的なサッカーは見たことがない」と語った。また彼によれば、北朝鮮の選手たちは空中戦の時に、韓国の選手たちに怪我をさせようとしていたという。

携帯電話の持ち込みも禁止

チェは記者団に対して、FIFAに苦情の申し立てを行うかどうかを大韓サッカー協会と話し合っているところだと語った。韓国代表チームの現地滞在環境や試合のプレー環境に加え、ファンやメディアの入場を禁止した決定についても苦情の申し立てを検討しているという。

またチェによれば、韓国代表は北朝鮮入りする前に、北京の韓国大使館に携帯電話を置いていくよう指示された。平壌に到着するとそのまま高麗ホテルに連れて行かれ、外部と連絡を取ることはできなかった。北朝鮮の旅行情報サイトによれば、同ホテルは44階建ての大型ホテルだが、チェが記者団に語ったところによれば、ほかに宿泊客はいないようだったという。

<参考記事>韓国で広がる東京五輪不参加を求める声、それを牽制する韓国政府

金日成競技場で試合を観戦したFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は、試合について次のように語った。「歴史的な試合だったからスタジアムが満員になるのを楽しみにしていたが、観客席にファンが一人もいなかったのはとても残念だった」

北朝鮮側はその後、試合映像を録画したDVDを韓国側に持ち帰らせたが、韓国のテレビ局KBSの説明によると、画質が悪すぎて放送はできないという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米11月中古住宅販売、0.5%増の413万戸 高金

ワールド

プーチン氏、和平に向けた譲歩否定 「ボールは欧州と

ビジネス

FRB、追加利下げ「緊急性なし」 これまでの緩和で

ワールド

ガザ飢きんは解消も、支援停止なら来春に再び危機=国
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 8
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中