最新記事

ブラジル

「ブラジルのトランプ」、疑惑報道のテレビ局に脅し

Bolsonaro Threatens Brazil’s Largest TV Network.

2019年10月31日(木)17時20分
ジェフリー・マーティン

差別発言で物議をかもしてきたブラジルのボルソナロ大統領 Adriano Machado-REUTERS

<リベラル派の女性市議が銃撃を受け死亡した事件とボルソナロ大統領との関連を報じた「クソ野郎ども」に激怒>

ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領は、人権派の女性市議マリエル・フランコの暗殺に関与した疑いを報じられて激怒し、このニュースを流したテレビ局に放送免許を取り上げると脅した。

「(免許が更新される)2020年に話し合おうじゃないか」と、ボルソナロはSNSで息巻いた。「それまでに私が死んでいることを願うといい。見せしめで更新を取り消す気はないが......おまえらは逃げも隠れもできないぞ。ほかのメディアもな」

「下劣なクソ野郎ども、おまえらに愛国心はない」ボルソナロはブラジル最大のテレビ局をそうののしったと、「国境なき記者団」は伝えている。「おまえらのジャーナリズムは腐りきっている。堕落し、非道徳的だ。おまえらは役立たずだ! 嘘をばらまくだけだ!」

「TVグローボよ、おまえらはマリエル殺害と私を結びつけようとしている。TVグローボのゲス野郎ども。悪党ども、そうは問屋が下さんぞ。私は誰にも何にも借りがない。リオデジャネイロで、誰かを殺さねばならない理由など一切ない。私がこの女性市議を見て存在を知ったのは、彼女が処刑されたその日が初めてだ」

容疑者とのツーショット写真も

ボルソナロと事件の関連性を伝えたのは、TVグローボの報道番組「ジョナル・ナシオナル」だ。

フェミニストの黒人女性で、リオ政界では異色の存在だったマリエル・フランコは昨年3月、車で帰宅中に運転手のアンデルソン・ゴメスと共に銃弾を浴びて死亡した。今年3月、退役した軍警察官ロニー・レッサが主犯格として逮捕され、やはり軍警察に勤務していたエルシオ・ケイロスが共犯容疑で逮捕された。事件は政治的理由による暗殺と見られ、ボルソナロが容疑者2人と接触していた疑いは以前から取り沙汰されていた。

銃撃を受けて死んだフランコは、ブラジルの黒人とLGBTと貧困層を代表し、汚職と戦っていた


容疑者のレッサとケイロスは、リオの分譲マンションでボルソナロと会っていた疑いが持たれている。このマンションにはレッサが居住していたが、ボルソナロも2世帯分を所有している。

報道番組が伝えた守衛の談話によれば、ケイロスはボルソナロに会うと言って、マンションに入ったという。ケイロスが「今から行きます」と電話で告げたときに、ボルソナロが返事をした声が聞こえたので、ボルソナロはケイロスの訪問を了承しているものと思った、と守衛は話している。

一方で番組は、ボルソナロがその日リオにはいなかったことを裏付ける記録があるとも報じた。

ケイロスはマンションでレッサと会ったと見られる。その晩、フランコは10数発の銃弾を浴びて死亡した。

ボルソナロはレッサと同じマンションに住んでいたため、事件との関連性が疑われているが、容疑者2人とは面識がないと主張している。しかしボルソナロとレッサの子供同士はデートしており、ケイロスとボルソナロのツーショット写真がSNSに投稿されてもいた。

<参考記事>ISの英国人処刑部隊「ビートルズ」の生き残り「もう終わりにしたい」
<参考記事>ジョディ・フォスターを振り向かせるために大統領を撃った男の最後のラブレター

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア3月製造業PMI、今年最低に

ワールド

トランプ氏、戦争終結時期明言せず 目標「達成間近」

ビジネス

EXCLUSIVE-プライベートクレジット問題、世

ワールド

メキシコ湾で石油タンカー供給逼迫、アジア・欧州勢が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経済政策と石油危機が奏でる「最悪なハーモニー」
  • 3
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅…
  • 6
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 7
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 8
    カンヌ映画祭最高賞『シンプル・アクシデント』独占…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 10
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中