最新記事

米犯罪

性的人身売買から救われた少女が自殺 犯人の男と家族の板挟みに悩んで

Texas Girl, 15, Dies after Being Rescued from Sex Trafficking Ring

2019年10月18日(金)16時00分
イワン・パーマー

救出後のレッティーは「すっかり壊れてしまっていた」と祖母は語る FACEBOOK/CYNTHIA RIVERA

<13歳でさらわれた娘が戻ってきたとき、家族との間には大きな溝が。少女は脱走を繰り返した上、自殺してしまった。犯人の男は今も野放しだ>

米テキサス州で自殺した15歳の少女の遺族が、正義を求めて声を上げている。少女は2年前に性目的の人身売買組織に誘拐され、薬物を盛られ、虐待を受けた。

レッティー・セラーノは10月12日に同州ヒューストンの自宅で自殺した。家族によればレッティーは、13歳だった2017年に中学校の近くで男に誘拐された。救出されたときには、以前とはまったくの別人になってしまっていたという。「帰ってきたレッティーは壊れてしまっていた」と、祖母のシンシア・リベラさんは地元テレビ局のKTRKに語った。

<参考記事>性行為を拒絶すると立ち退きも、家主ら告発

父親のマリアーノ・セラーノはテレビ番組「Fox26」とのインタビューで、娘は自分を誘拐して性的に虐待した男の元に戻りたがっていたと語った。「娘はあの男と一緒にいたいと思う一方で、家族を傷つけたくないとも思い、苦しんでいた」

家族によれば、レッティーはこれまでに2度、自宅から逃げ出して男の元に戻ろうとした。人身売買組織にはこの男の他にあと3人、レッティーの虐待に関与した男がいると、家族はみている。

レッティーを誘拐した男は身柄を拘束されたものの、わずか数日後に釈放されたという。家族はこの男が正当な裁きを受けるよう求めている。

都市全体が赤線地帯に

「あの男に裁判を受けさせたい」とマリアーノはFox26に語った。「娘が死んだのはお前のせいだ、と言いたい」

ヒューストン警察特別捜査部隊のジム・デール指揮官は、今後、捜査再開を検討すると表明した。レッティーの死は、学校や地域社会に人身売買の危険性を認識させることがいかに重要かを示しているとも語った。

「被害者である彼女の声が、どういう訳か見過ごされてしまった。だからこそ、学校も巻き込んでこの問題に対応していくことが重要だと思っている」と彼は語った。

性目的での人身売買の被害者の社会復帰を支援している非営利組織エライジャ・ライジングのマイカ・ガンボア事務局長は、人身売買は今や大きな問題となっており、「都市全体が赤線地帯(風俗街)と化しつつある」と指摘する。

「人身売買はもはや一部の地域だけが直面している問題ではなく、全国に広まりつつある」が、多くの場合、加害者に十分な罰が科されずに終わると彼女は言う。

<参考記事>未成年性的虐待の被告の大富豪が拘置所で怪死、米メディアが大騒ぎする理由

祖母のリベラは現在、フェイスブックを通じてレッティーの葬儀のための資金を募っている。

「レッティーの死が無駄にならないように、皆さんに支援をお願いしたい」と彼女は資金集めのページに書き込んだ。「私たちコミュニティーと社会制度は、この少女と家族を支えることができなかった。それを二度と繰り返してはならない」

20191022issue_cover200.jpg
※10月22日号(10月16日発売)は、「AI vs. 癌」特集。ゲノム解析+人工知能が「人類の天敵」である癌を克服する日は近い。プレシジョン・メディシン(精密医療)の導入は今、どこまで進んでいるか。


ニューズウィーク日本版 AI兵士の新しい戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年1月13号(1月6日発売)は「AI兵士の新しい戦争」特集。ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

実質消費支出11月は予想外の2.9%増、食料品や自

ワールド

ローマ教皇が初の枢機卿会議を開催、教会の分裂回避な

ワールド

加とブラジルの首脳、ベネズエラ主導の移行プロセス支

ビジネス

経団連、赤沢経産相と懇談 経済安保で官民連携求める
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 7
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 8
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 9
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 10
    「ショックすぎる...」眉毛サロンで「衝撃的な大失敗…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 8
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 9
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中