最新記事

核開発

イラン、遠心分離機開発を発表 核合意の履行停止第3弾

2019年9月5日(木)09時11分

イランのロウハニ大統領は4日、核合意で定められた義務の停止に向けた「第3弾」の措置を発表し、ウラン濃縮活動の加速に必要な遠心分離機の開発を6日から開始すると発表した。タジキスタンのドゥシャンベで6月撮影(2019年 ロイター/Mukhtar Kholdorbekov)

イランは4日、2015年の核合意で定められた義務の履行を停止する「第3弾」の措置として、ウラン濃縮活動の加速に必要な遠心分離機の開発を開始すると発表した。一方で、核合意存続に向けた欧州の対応期限を2カ月延長することも明らかにした。

米国はイラン制裁緩和の可能性を否定し、イラン産原油の密輸阻止を狙った新たな制裁を発表。フランスがイランに提案した150億ドルの信用供与枠の設定に冷ややかな反応を示したが、排除はしなかった。

こうした動きは、イランや米欧がそれぞれの立場を堅持しながらも外交余地を残していることを示唆している。

トランプ米大統領は4日、ニューヨークで今月行われる国連総会でイランのロウハニ大統領と会談する可能性に含みを残した。ただ、制裁を緩和する考えはないと明言した。

ロウハニ大統領はテレビ演説で、核合意の履行停止第3弾として、遠心分離機の開発を6日から開始すると発表した。「6日からさまざまな種類や新型の遠心分離機、さらにウラン濃縮活動の加速に必要なあらゆる研究・開発に乗り出す」とし、「6日をもってイランの研究・開発に対する制限はすべて解除される」と言明した。

米国の核合意離脱後、イランは2回にわたり義務履行を停止する措置を実施し、9月5日までに欧州が合意存続に向けた対応をとらなければ履行停止をさらに進める考えを示していた。

しかし、イラン国営テレビによると、ロウハニ大統領は「今日明日中に欧州と合意する可能性は低い。欧州は約束を果たすための時間をあと2カ月得る」と述べた。

同氏は履行停止第3弾について、「国連の監視の下で平和的に行い、欧州が約束を果たせば元に戻すことができる」とも述べた。

仏外交筋はイランの措置に遺憾を示し、「有益ではない」とした上で、引き続き解決策を模索する考えを示した。

こうした中、米政府は4日、イランのイスラム革命防衛隊の関与が疑われる石油輸送網に属する企業や船舶、個人を制裁対象に指定したと発表した。シリアに数億ドル相当の石油を供給し、米制裁に違反したという。

米国務省のイラン担当特別代表ブライアン・フック氏は記者団に対し「制裁は今後も拡大する。適用除外は一切検討していない」と述べ、最大限の圧力をかける取り組みに注力していることを強調した。

米政府はまた、イラン革命防衛隊が米制裁を回避するため「詐欺的手法」を用いているとして注意喚起し、制裁対象者と取引をする者にも制裁を科す可能性があると警告した。

さらに、革命防衛隊の資金取引などの阻止につながる情報を提供すれば最大1500万ドルの報酬を出すと発表した。

一方、スウェーデンによると、イランは7月にホルムズ海峡で拿捕(だほ)した英タンカーの乗組員23人のうち7人を解放した。タンカーはスウェーデン企業が所有している。

*内容を追加しました。

[ドバイ/ワシントン 4日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20190910issue_cover200.jpg
※9月10日号(9月3日発売)は、「プーチン2020」特集。領土問題で日本をあしらうプーチン。来年に迫った米大統領選にも「アジトプロップ」作戦を仕掛けようとしている。「プーチン永久政権」の次なる標的と世界戦略は? プーチンvs.アメリカの最前線を追う。



ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮、米のベネズエラ攻撃「主権侵害」と非難

ワールド

高市氏「ベネズエラの民主主義回復に努力」、米攻撃支

ワールド

サウジ、イエメン南部問題で対話呼びかけ 分離派が歓

ワールド

焦点:ベネズエラ介入でMAGA逸脱、トランプ氏は「
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...強さを解放する鍵は「緊張」にあった
  • 2
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    2026年の節目に問う 「めぐみの母がうらやましい」── …
  • 5
    「対テロ」を掲げて「政権転覆」へ?――トランプ介入…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 8
    ベネズエラ攻撃、独裁者拘束、同国を「運営」表明...…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    野菜売り場は「必ず入り口付近」のスーパーマーケッ…
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中