最新記事

軍事

韓国防空識別圏にロシア・中国が侵入 韓国F15とF16がロシア機へ360発射撃 

2019年7月23日(火)18時15分

7月23日、韓国軍は23日、同国領空に侵入したロシアの軍用機に警告射撃を行った。写真は2017年4月に撮影された韓国軍機。提供写真(2019年 ロイター/U.S. Marine Corps)

韓国の軍用機は23日、同国領空に侵入したとしてロシアの軍用機に数百発の警告射撃を行った。韓国の国防当局者が明らかにした。一方、ロシア側はいかなる領空も侵犯していないとしている。韓国国防省当局者によると、ロシア軍機が韓国の領空を侵犯するのは初めて。

同省によると、ロシアの爆撃機2機と中国の爆撃機2機がともに23日午前、韓国防空識別圏(KADIZ)に進入した。

その後、これとは別にロシアの早期警戒管制機1機が午前9時過ぎ、韓国が実効支配し日本も領有権を主張する独島(日本名・竹島)上空の領空を2度にわたり侵犯したという。

一方、ロシア通信(RIA)によると、ロシア国防省は、自国の戦略爆撃機が韓国領空を侵犯したことを否定。韓国の軍用機がロシア爆撃機の進路を横切り、同爆撃機と交信しなかったと指摘したほか、韓国のパイロットが公海上でロシア軍機の飛行を邪魔したのはこれが初めてではないとした。

また、中国外務省は、韓国の防空識別圏は領空ではなく、いずれの国もそこにおいて移動の自由を享受できるとコメントした。

韓国大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室室長は、ロシア安全保障会議のパトルシェフ書記に強く抗議した上で、ロシア安全保障会議に対し、事態の調査および適切な対処を要請。「この事態を非常に深刻に受け止めており、このようなことが繰り返された場合は、さらに強い装置を取ることになる」と述べた。韓国大統領府が発表した。

韓国外務省報道官によると、同省は23日、ロシアのマキシム・ボルコフ首席公使と中国の邱国洪大使を呼び、厳正に抗議するとともに、再発防止を強く求める方針だ。

韓国軍合同参謀本部当局者によると、領空を侵犯したロシア機はA50空中早期警戒管制機。韓国側は戦闘機F15とF16でスクランブル(緊急発進)をかけた。

同当局者によると、韓国の戦闘機は約360発の警告射撃を行った。

韓国国防省は、警告射撃を含め「韓国軍は戦術行動を取った」とした。

韓国国防当局者がロイターに明らかにしたところによると、ロシア機は何ら脅威を与えるやり方で反応してくることはなかったという。

ロシア機は韓国領空を去ったものの、約20分後に再び領空に侵入。韓国側はさらに警告射撃を実施した。

韓国国防省は、韓国の軍用機が領空侵犯に対して「通常の対応を取った」と説明。詳細については明らかにしなかった。

一方、日本政府は今回の事案を巡り、韓国とロシア両国に対し厳重に抗議した。菅義偉官房長官は、韓国軍用機が領空を侵犯したとして警告射撃を行ったことに関して、「竹島の領有権に関するわが国の立場に照らして到底受け入れられず、極めて遺憾だ」と述べた。

*内容を更新し、日本政府の対応も追加しました。

[ソウル/東京 23日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米GDP、第1四半期速報値0.3%減 関税で3年ぶ

ワールド

トランプ氏、「好きなだけ」政権にとどまるよう要請 

ワールド

中国との公正な貿易、知的財産権の管理も含まれる=ト

ビジネス

独CPI、4月速報は+2.2% 予想上回るも伸びは
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 2
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・ロマエとは「別の役割」が...専門家が驚きの発見
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 7
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 8
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 9
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中