台湾親中派の影に中国共産党「工作部」 事業支援で再統一の機運上昇狙う
ターゲットの若者たち
親中派団体は、台湾南部の若い世代に向けてビジネス機会をあっせんしていくことを重視している。中国当局の文書において「最優先課題」とされた層である。
台湾事務弁公室の事業報告によれば、2016年、台湾のスタートアップ企業を対象とした「起業拠点」が中国全土70カ所以上で設立された。こうした場所では、補助金や減税などの優遇措置が用意されていることが多い。
こうしたインキュベーション拠点の1つは北京にあり、ロイターが閲覧した台湾事務弁公室の1部門による2016年の報告書では、この取組みは「北京と台湾の人々の間の、より緊密で親密な関係」に貢献したと結論づけている。
CUPPのWen氏も同じようなキャンペーンを進めている。同氏は、広東省における500万元(約7800万円)規模のプロジェクトのために台湾の若者を募集している。このプロジェクトでは、Wen氏他数名のCUPPメンバーが、国家支援による減税措置が適用される農場やホテルなどを含めた「農業起業家拠点」を建設する10年契約を獲得している。
プロジェクトに参加する台湾人について、Wen氏は「彼らが統一を支持しているかどうかは問わない」と話している。「我々が望んでいるのはまず彼らの信頼を獲得することで、彼らのアイデンティティーについては、その後だ」
政府統計によれば、過去10年間の台湾における平均賃金の上昇率は3.5%に留まっており、中国市場を見逃すのはあまりにももったいないと考える人もいる。
31歳で農業を営むJhang Hong-siさんは、かつては中国で働くことに及び腰だったが、今ではWen氏のプロジェクトの技術責任者だ。同プロジェクトは現在、香港、マカオのスーパーマーケットでの商品販売に向けた準備を進めている。
「中国人のものと言えるブランドを築き上げたい。中国には最大の市場がある」とJhangさんは言う。「中国共産党であれ国民党であれ、中国人が統治している限り、私にとっては同じことだ」
(翻訳:エァクレーレン)
[台北/香港 ロイター]