台湾親中派の影に中国共産党「工作部」 事業支援で再統一の機運上昇狙う
「中国が神」
昨年8月、張安楽CUPP総裁の自宅と同団体の台北本部が台湾当局による捜索を受けた。中国から資金提供を受けた疑いによるものだが、同総裁らは容疑を否定している。台湾では、政治団体が中国政府から資金提供を受けることは違法とされている。
この捜索は、いかなる告発にも繋がらなかった。
張総裁は台北で行われたインタビューで、中国から資金を得たことはないと述べている。だが彼は、台湾にとって大陸との統一は必須であると述べた。
張総裁は自身のオフィスで「我々の神は中国だ」と語った。オフィスには、故鄧小平氏の金色の像が飾られている。「精神的には間違いなく応援を受けているが、物質的な支援は受けていない」
経済政策・対大陸政策をめぐる不満が高まるなかで、最近の世論調査では蔡英文総統が率いる与党・民進党にとって悪い結果が出たことから、張総裁をはじめとする統一推進派は、自分たちの影響力を高めるチャンスが来たと見ている。
彼らは、有権者の支持を蔡政権から奪いたいと考えている。彼らに言わせれば、蔡総統は台湾を、中国が絶対に認めない正式な独立に向けて少しずつ近づけているという。台湾の総統選挙は1月に行われる。
台北に本拠を置く統一推進派団体・中華愛国同心会の幹部であるZhang Xiuye氏によれば、同会の今年の重点課題は、香港の制度に似た「一国二制度」を台湾自治のモデルにするというメッセージを農村部にまで広げることだと話している。
対中融和路線の野党・中国国民党の総統候補を選ぶ党内予備選挙は激戦となっており、4月、鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)会長が出馬したことでメディアを賑わせた。国民党はCUPP及び愛国同心会の支持を得ると見られる。
CUPPのWen氏は、1992年に国民党が中国共産党とのあいだで結んだ、中台双方が「1つの中国」を構成するという中国政府が重視する原則を認めた「九二共識」を国民党が肯定していることを挙げ、「我々は国民党支援に全力を集中させる」と話している。
国民党の広報担当者であるDragon Ou-Yang氏はロイターに対し、同党はそうした支援を歓迎すると語った。
「統一支持派の団体が国民党を支持するのは理由がある。我々が、対等かつ互恵的な立場で中台関係の問題に取り組んでいるからだ」