最新記事

米軍事

米国、ロシア製ミサイル導入のトルコをF35生産から除外 売却計画も凍結へ

2019年7月18日(木)11時17分

米ホワイトハウスは、最新鋭ステルス戦闘機「F35」の生産などでトルコを関与させることを止めると発表した。写真はトルコ・米両国の国旗。昨年8月に撮影(2019年 ロイター/DADO RUVIC)

米ホワイトハウスは17日、最新鋭ステルス戦闘機「F35」の生産などでトルコを関与させることを止めると発表した。トルコがロシア製ミサイル防衛システム「S400」の導入を開始したことを受けた措置。

エレン・ロード国防次官は会見で、米国とF35の生産プログラムに加わっているパートナーは、この決定で見解が一致しているとし、トルコは約900種類のF35部品を製造しているが、今後トルコからの調達を止め、サプライチェーンを主に米国に移すと説明した。

「この決定によりトルコは明らかに、そして残念なことに雇用や将来の経済的機会を失う」と述べた。

国防総省は、トルコ人のパイロットのF35の操縦訓練も打ち切る計画で、ロード国防次官は、F35のパイロットとスタッフは7月31日までに米国から出国する計画だと説明した。

さらに、米国はトルコに100機のF35を売却することで合意していたが、これを凍結する。

キャピタル・アルファ・パートナーズのアナリスト、バイロン・カラン氏は、恐らく、今後約10年で毎年8─12機の引き渡しが予定されていたとの見方を示した上で、ロッキード・マーチンや国防総省は、納入計画の変更に対応できるとの見方を示した。

ロッキード・マーチンの広報担当者は、ここ数カ月、米国内で別の調達先をすぐに確保できるよう調整していたとコメントした。

国防総省の高官によると、米国はルーマニア、ギリシャ、ポーランドなど5カ国へのF35売却を検討している。

国防総省の発表を受けてトルコ外務省は、米国との戦略的関係を修復不可能な状態にする過ちで、米国が取り止めることを願っていると声明を発表した。

F35は北大西洋条約機構(NATO)加盟国や他の米国同盟国が配備している。米国は、トルコがF35とS400両方を配備すれば、F35の情報がロシア側に流れると懸念している。

NATOのストルテンベルグ事務総長は、F35プログラムからのトルコ除外への懸念を表明。S400はNATOが共有するミサイル防衛システムの一部となることはできないが、トルコは引き続きNATOのシステムの一部となる航空機やレーダーを保有していると語った。

[ワシントン 17日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 日本時代劇の挑戦
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月9日号(12月2日発売)は「日本時代劇の挑戦」特集。『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』 ……世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』/岡田准一 ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「

ワールド

米安保戦略、ロシアを「直接的な脅威」とせず クレム

ワールド

中国海軍、日本の主張は「事実と矛盾」 レーダー照射

ワールド

豪国防相と東シナ海や南シナ海について深刻な懸念共有
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 8
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 9
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中