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キャッシュレス化が進むインドネシア 配車サービスGOJEKが社会を変える

2019年6月24日(月)19時00分
大塚智彦(PanAsiaNews)

GOJEKではバイクの「GOライド」、乗用車の「GOカー」による送迎に加えて、提携レストランやファストフード店で食べ物を購入して配達してもらう「GOフード」、部屋や家を掃除してもらう「GOクリーン」、書類や荷物を配達してくれる「GOセンド」、マッサージが受けられる「GOマッサージ」と、提供するサービス分野は実に多岐にわたっている。

食料品や商品の購入配達、清掃やマッサージなどのサービス提供などはすべて自宅や職場でスマホを操作するだけで完結する。商品やサービスの代金や配達料も発注時に表示される、という便利さは、インドネシア人の生活様式に変化をもたらしているとさえ指摘されている。

進むワルンのオンライン、IT化

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「ワルン・ピンタール」の前で客待ちしているGOJEKのライダーたち(撮影=筆者)

インドネシアの伝統的な小売り形態に「ワルン」と呼ばれる雑貨店がある。小さいもので奥行き1〜2メートル、間口2.5メートルから3.5メートルほどの売店に洗剤やティッシュなどの日用雑貨からインスタント食品や飲料水、菓子やパン、煙草などがところ狭しと並んでいる。ガスコンロを備えて簡単な調理で焼きめしや焼きそば、揚げ物などの食事ができるところも多く、市民の食堂、休息所、情報交換や世間話などの憩いの場ともなっている。

最近、ジャカルタ市内に黄色い鮮やかな看板のワルンが続々と登場している。「ワルン・ピンタール(賢いワルン)」という名前の「スマート・ワルン」で、特徴はワルン・ピンタール社が提供する無料Wi-Fiが使用可能で、スマホの充電もでき、さらに支払いは現金以外にスマホの電子マネーでも可能なところだ。スマホでの決済アプリとしては、リッポーグループが運営する「OVO」、大手キャリアのテレコムセルによる「T-cash」、そしてGOJEK社の「GO-pay」の3社が幅広いサービスを提供しており、利用者が圧倒的に多い。

こうした設備・環境から、配車を求める顧客からの情報をコーヒーカップやスナックを片手に「ワルン・ピンタール」でスマホを操作しながら待つGOJEKなどのライダーの姿が増えている。

「ワルン・ピンタール」のもう一つの特徴は、専用アプリを使ってワルンで販売する商品の仕入れも可能になっている点だ。これまで市場などに赴いて仕入れていた商品が専用アプリでオンライン注文すれば配達料無料で翌日には「ワルン・ピンタール」に届くのだ。

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