最新記事

公衆衛生

もうトイレより汚いなんて言わせない! 空港のトレー、抗菌仕様へ

2019年5月31日(金)14時45分
松丸さとみ

monkeybusinessimages -iStock

荷物を入れるあのトレー、トイレより汚かった

空港で最もばい菌にまみれている「トレー」が、今年の夏から清潔に生まれ変わる! こんな嬉しいニュースが発表された。抗菌仕様のトレーが米国の空港で導入される予定だ。

本サイトでも昨年9月にお伝えした通り、フィンランドと英国の科学者らが調べたところ、空港で最も汚いのはトイレなど「いかにも」という場所ではなく、セキュリティエリア(保安検査場)にあるトレーだったことが分かった。手荷物検査をする際に、かばんやジャケット、パソコン、携帯電話などを入れるプラスチック製のあのトレーだ。

風邪やインフルエンザの菌は当然ながら、結膜炎や肺炎、風邪、下痢、気管支炎などさまざまな病気の原因となるアデノウイルスも検出された。この調査が行われたのはフィンランドにある空港なのだが、荷物検査をする際にはほぼ必ず触るところなので、空港を利用する人なら誰もがショックを受けたのではないだろうか。

しかしこのほど、「救世主」が現れることになった。抗菌仕様のトレーが米国の主要30カ所の空港にこの夏から導入されることになったのだ。

抗菌技術を提供する米国企業マイクロバンはこのほど、保安検査場のトレーを製作している米国メーカー、セキュリティポイント・メディアと提携して「抗菌トレー」を製造すると発表した

抗菌とはいえ過信は禁物

マイクロバンによると、同社の抗菌技術は、バクテリアのほか、酵母やかびなどの菌類にも効果がある。こうした微生物の細胞機能を破壊し繁殖できなくなる添加剤をトレーの製造過程で加えることで、トレーの表面に微生物が付着しても増殖が抑えられるようになるという。

また、消毒剤や殺菌剤のように効果を維持するためには繰り返し塗布する必要があるものとは異なり、抗菌効果は製品が使用できる間はずっと維持される。

ただしマイクロバンは、抗菌といえど定期的な清掃が必要であることには変わりなく、また病原菌の広がりを完全に阻止できるわけではないと注意を促している。つまり、抗菌トレーの登場以降も、保安検査場を通過したあとはしっかりと手を洗った方がいいだろう。

米ウェブメディア「メンタルフロス」によると、デンバー、ナッシュビル、タンパの空港ではまもなくこの抗菌トレーがお目見えするらしい。その他の空港では、7月上旬から順次導入していくもようだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ロシア貿易相手国への制裁、米国民の6割超が賛成=世

ワールド

韓国の造船世界最大手、米国需要を取り込むため関連会

ワールド

中国、サウジに通商分野の連携強化要請

ワールド

中国、米ロとの3カ国核軍縮協議は「不合理で非現実的
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪悪感も中毒も断ち切る「2つの習慣」
  • 4
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    「美しく、恐ろしい...」アメリカを襲った大型ハリケ…
  • 7
    【クイズ】1位はアメリカ...稼働中の「原子力発電所…
  • 8
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 9
    「どんな知能してるんだ」「自分の家かよ...」屋内に…
  • 10
    イタリアの「オーバーツーリズム」が止まらない...草…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 7
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中