最新記事

皇室

「史上初」ずくめの新天皇 伝統にとらわれぬその半生

2019年4月28日(日)19時00分

皇太子さまは初の戦後生まれ、かつ初めて両親に育てられたというだけでなく、大学卒業後に海外で研究を続けられた初の天皇となる。写真は天皇陛下74歳の誕生日に宮殿のベランダに立った皇太子ご夫妻。2007年12月、東京で撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)

5月1日に新天皇に即位される皇太子さま(59)は、真面目で勉強熱心な性格として知られ、外交官だった雅子さま(55)と結婚される際には「全力でお守りします」と約束された。

皇太子さまは初の戦後生まれ、かつ初めて両親に育てられたというだけでなく、大学卒業後に海外で研究を続けられた初の天皇となる。

天皇陛下が4月30日に退位されるのに伴い、皇太子さまは5月1日に即位される。天皇の譲位は約200年ぶりとなる。

皇太子さまは2月、誕生日の記者会見で「これからのことを思うと、とても厳粛な気持ちになります」と語られた。

一般人とセルフィ―も

3人きょうだいの長男である皇太子さまは、乳母や傅育官(ふいくかん)ではなく、母親の美智子さまが子育てにあたられた。国民に皇室を身近に感じてもらえるよう、美智子さまは皇太子さまに手作りの弁当を持たせたりもした。

英オックスフォード大学で中世ヨーロッパの水上交通を研究された皇太子さまは、2年間の留学生活について、人生最良の時期のひとつ、と表現されている。

「遊び心がある」と言われる皇太子さまは、デンマーク訪問の際には市民のセルフィ―(自分撮り)の要望に応え、一緒に写真に収まった。

献身的な家族愛

皇太子さまは宮内庁職員らの反対を押し切り、小和田雅子さん(当時)と結婚。2人の出会いはコンサート会場で、その後何年も交際は続いたが、雅子さまは当初、プロポーズを断っていた。

結婚から10年経った2003年後半、雅子さまはほとんど公の場に姿を見せなくなり、医師団は「適応障害」という病名を発表した。皇室の環境に身を置くストレスや、世継ぎを生まなくてはならないというプレッシャーから来るものだった。

雅子さまを何としても守ろうと、皇太子さまが発した言葉は国民に衝撃を与えた。皇太子さまは雅子さまについて、皇室の環境に適応しようとして「疲れ切ってしまっているように」見えるとした上で、「それまでの雅子のキャリアや、そのことに基づいた人格を否定するような動きがあったことも事実です」と述べられた。

弟である秋篠宮さまはこれに異論を唱え、天皇陛下も心配を口にされることとなった。

近代以降では初めて息子がいない天皇となる皇太子さまは、17歳の長女・愛子さまに愛情を注がれおり、保守的な日本ではまだ一般的とは言えない、男親による積極的な子育てに取り組まれている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ミランFRB理事の反対票、注目集めるもFOMC結果

ワールド

中国国防相、「弱肉強食」による分断回避へ世界的な結

ビジネス

前場の日経平均は反発、最高値を更新 FOMC無難通

ワールド

ガザ情勢は「容認できず」、ローマ教皇が改めて停戦訴
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中