最新記事

介護放棄

介護放棄で入所者に蛆が!ネグレクト常習施設の恐怖

Maggots Found In Aged Care Resident’s Head Wound

2019年3月13日(水)21時00分
バイシュナビ・バイディアナタン

最近ではあまり目にすることもなくなった蛆がよりにもよって pictorius/iStock.

<オーストラリアの介護施設でおぞましい事件が起こった。利益優先の民間企業だからなのか、ネグレクトの常習施設だった>

オーストラリアの介護施設で3月11日、男性入所者の頭の傷に蛆虫がわいているのが見つかった。男性は病院に運ばれ治療を受けている。

「まったく受け入れがたい、懸念すべきことだ」と、「高齢者と介護」大臣のケン・ワイアットは言った。施設の閉鎖もありうると息巻いた。

ヘルスケア企業ブパが運営するこの施設は、つい数カ月前にも、「入所者が深刻なリスクにさらされている」として、新しい入所者の受け入れ禁止処分と業務改善命令を受けたばかり。「処分後こんなに短期間で、入所者に蛆がわくなんてありえない」と、介護の質を監督する立場の当局者も言う。

問題の介護施設は豪南東部のニューサウスウェールズにある。マネジャーのシャロン・ベンジは、蛆がわいた入所者と家族に謝罪し、施設の運営方法を見直し、スタッフに追加のトレーニングをしているところだと言う。

だがむしろ、施設の閉鎖が遅すぎたのかもしれない。医療過誤を告発するNGO「医療過誤行動グループ」の創設者、ロレイン・ロングは、「これほどぞっとする話は聞いたことがない。政府は、介護施設で何が起こっているか把握できていない。その証拠に、ブパは何度も繰り返し処分を受けている。二度とこんなことがあってはならない」

蛆がわいたのは「常習的なネグレクト(放棄)」のせいだ、と言うのは年金受給者と老齢退職者の団体CPSAのポール・バースティージ。「実に深刻だ。ブパは民間企業なので、法律でも株主を最優先にするべきと定めている。入所者たちは後回しだ」

病院に入院した男性の年齢や氏名はわかっていない。

※3月19日号(3月12日発売)は「ニューロフィードバック革命:脳を変える」特集。電気刺激を加えることで鬱(うつ)やADHDを治し、運動・学習能力を高める――。そんな「脳の訓練法」が実は存在する。暴力衝動の抑制や摂食障害の治療などにつながりそうな、最新のニューロ研究も紹介。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ブルガリア、ユーロ導入で一時的な物価上昇も=ECB

ビジネス

KKR、今年のPE投資家への還元 半分はアジアから

ビジネス

ニデック、信頼回復へ「再生委員会」設置 取引や納品

ビジネス

スイス中銀の政策金利、適切な水準=チュディン理事
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつかない現象を軍も警戒
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 10
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中