最新記事

中国経済

中国、全人代で経済の懸念払しょくへ 指導部は減税など対応策提示か

2019年3月4日(月)11時11分

中国では3月5日に全国人民代表大会(全人代)が始まる。写真は、昨年の全人代での習近平国家主席。北京で昨年3月撮影(2019年 ロイター/Damir Sagolj)

中国では3月5日に全国人民代表大会(全人代)が始まる。同国経済が減速を続け、ここ数年で最大の正念場を迎える中で、指導部はいくつかの対策を打ち出して懸念の払しょくに努める見通しだ。

政府は国内外の要素が依然として先行きの経済を圧迫すると認め、今年の経済目標は以前より控え目に設定するだろう。ただ全人代の冒頭に李克強首相が発表する政府活動報告には、中小企業支援や需要喚起、雇用確保などのためにさらなる措置を講じる考えが盛り込まれると予想される。

包括的な減税も表明される可能性がある。一部のエコノミストは、減税規模が3000億ドル近くになってもおかしくないとみている。

足元の中国経済の成長ペースは1990年以降で最も鈍い。米国との貿易摩擦に加え、政府による金融リスク抑制で企業の借り入れコストが上がり、投資が冷え込んでいるためだ。

このため複数の関係者はロイターに、今年の成長率目標は昨年の6.5%前後から6.0─6.5%に修正される公算が大きいと明らかにした。投資家は、成長率などの経済目標を、当局が金融・財政政策を調整するかどうか判断する手掛かりとして注目している。

専門家の話では、中国政府は国内総生産(GDP)を2010年から20年までに2倍にする長期目標を定めており、達成には成長率を6%超に保つ必要がある。政府には、大幅な景気減速は失業を増大させ、社会不安につながりかねないとの心配もある。

興業銀行(上海)のチーフエコノミスト、Lu Zhengwei氏は「政府は今年、四半期ベースで6%未満の成長を受け入れないだろう。下振れを止められなくなるかもしれないと不安を持っているからだ」と指摘した。

政策担当者は過去に行ったような大規模な景気刺激策は念頭になく、金融システムのリスクを抑え込む取り組みは堅持していくと表明しているものの、融資促進や企業の調達コスト引き下げなどの政策を実施しており、軸足は経済成長に移っている。減税などの措置も昨年の1兆3000億元規模だけにとどまらないとみられる。

こうした中で関係者によると、税収減と歳出拡大を背景に、今年の財政赤字の対GDP比目標は、3%未満にはなるとしても、昨年の2.6%から上昇しそうだ。

貿易問題

もっとも全人代で大きな存在感を示すのは貿易問題だろう。米中貿易協議が摩擦を和らげたり、関税の応酬を止めるような合意に近づいているのかどうかはまだはっきりしていない。

中原銀行のチーフエコノミスト、Wang Jun氏は「貿易摩擦で中国が抱える国内問題があらわになっている。例えばどうやって国際ルールに適応していくか、または米国との外交にどう対処していくか、筋の悪い競争ではなく『正常な』競争をいかに進めていくかなどだ」と述べた。

ただ中国政府は、米国などの批判に対応する形で外資の技術移転の強要や外資事業に対する政府の違法な「介入」を禁止する法案を全人代に提出している。全人代は政府の方針をほとんど承認するのが通例だけに、この法案も可決される見込みだ。

(Ryan Woo、Kevin Yao記者)

[北京 1日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ジョン・レノン暗殺の真実
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米印首脳が電話会談、関税導入後3回目 二国間関係な

ワールド

トルコ中銀が150bp利下げ、政策金利38% イン

ワールド

ウクライナ、米国に和平案の改訂版提示 領土問題の協

ビジネス

米新規失業保険申請、約4年半ぶり大幅増 季調要因の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキャリアアップの道
  • 2
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 3
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 4
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 5
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 6
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 7
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 8
    ピットブルが乳児を襲う現場を警官が目撃...犠牲にな…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 10
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中